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奈良県の山下真知事(日本維新の会)が、防災拠点に関西最大規模となる太陽光発電施設(メガソーラー)を設置する計画を打ち出したことで、県議会が紛糾しています。
《詳細》
議論になっているのは、奈良県五條市の大規模広域防災拠点の土地利用についてです。県はこれまで、南海トラフ巨大地震に備え2千メートル級の滑走路などを整備する計画でしたが、山下知事は今年1月にその計画を見直し、防災拠点の用地のうち25ヘクタール以上を使用して、関西最大規模の太陽光発電施設を整備する計画を発表しました。
知事は1月の会見で、「脱炭素を進めていくうえで、再生エネルギーの供給を増やさないといけない。奈良県は(地理的条件から)太陽光と水素しかない」と説明。メガソーラーを設置することで、平時は企業などにエネルギー供給し、災害時には非常用電源として利用できるなどとメリットを強調しました。
一方、計画ができるまでの経緯が不透明であるうえ、近年メガソーラーをめぐる災害時の事故が各地で相次いでいることから、多くの県議や地元住民が反発しています。中には「太陽光をやれと誰かに言われたのか」といった声も報じられています(3月22日付産経新聞電子版)。
これに対し知事は、太陽光発電の事故件数から計算した事故割合は0.08%に過ぎず「きわめて災害リスクが低い施設だ」とし、設置場所がほぼ平地であるため「土砂崩れや地滑りの被害を受けるような場所ではない」と主張。「一致点を見出すのは難しい。反対があっても事業は進める」と強硬な姿勢を示しました。
そうした中、知事に反対する自民党の県議らは今月19日に開かれた特別委員会で、知事が提出した新年度予算案を否決。25日の本会議で、今度は自民党側から防災関連予算の一部を修正した修正案を提出するものの、もし可決されても知事は審議をやり直す「再議」を求めることができるなど、今後も応酬が続くと見られています。
なお、維新の会は過去、大阪市が行うメガソーラー事業を、中国の国有系企業「上海電力」に受注したことがあります(関連記事:「橋下元大阪市長の「上海電力」ソーラー参入問題が炎上 電力インフラを他国から守る法整備を急げ」)。
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