2024年3月号記事
世界の「脱炭素疲れ」が始まった
世界を席巻したかにも見えた「脱炭素」の流れは、深刻なエネルギー危機にもつながり、各国で見直しの動きが進む。日本も、方向転換の時だ。
INTERVIEW
目覚めろ日本!
欧米は脱炭素を後悔し始めた
杉山 大志
各国政府が推進してきた脱炭素政策が、結果として世界的なエネルギー危機につながり、その非現実性が一気に認識されつつあります。
脱炭素がエネルギー危機を起こした
例えば欧州は極端なグリーン政策を進め、石炭火力発電所の閉鎖を加速させたり、国内で化石燃料が採れるにもかかわらず、その開発・投資を止めたりする、ということをしてきました。
代わりに太陽光発電や風力発電などを大量導入しましたが、それで大きな電力需要を安定的に賄えるはずもありません。急進的な脱原発政策も手伝って、必然的にロシアの天然ガス輸入に依存する構造になっていました。
そこに発生したのが、ロシア―ウクライナ戦争でした。欧州は結束して資源の禁輸に踏み切り、結果として深刻なエネルギー不足に陥ったのです。光熱費は高騰し、貧困層には冬に煖房が使えず亡くなる人が出ることも懸念され、あらゆる産業に波及してインフレが深刻化しました。