《ニュース》

2022年度のエネルギー白書によると、日本の電気代が3年間で3割上昇したことが明らかになりました。

《詳細》

ロシアへの経済制裁により、欧州ではパイプラインを通じたロシア産の天然ガスの供給が細り、代替する各国産の液化天然ガス(LNG)の価格が上昇しました。同白書では、日本の2023年1月の電気料金が、2020年1月から3割上昇したことを挙げています。同期間で欧州連合(EU)の電気代は5割上昇し、イタリアに至っては3倍になっているといいます。

日本が3割増に抑えられた要因として、価格を維持しやすい長期契約のLNGを中心にしていたことや、燃料費の変動の上限を超えた分を電力会社が負担する仕組みがあると指摘しています。

ただ、電気などのエネルギー価格の上昇は、国内の企業に多大な影響を与えています。企業の水道光熱費の変化について帝国データバンクが調査した結果、2021年度から2022年度にかけて、対象となった約3万8000社の約8割で増加しており、1社あたり平均で47.8万円増であることが分かりました(2023年5月24日発表)。特に小売業は1社あたり平均で約186万円増と、大きな影響を受けています。

さらに原材料の高騰に加え、電気料金の上昇を要因とする食品の値上げが増えています。帝国データバンクの5月31日発表の調査では、7月に食品メーカー各社が値上げを予定している約3400品目のうち、2割を超える777品目が電気代の上昇を値上げの理由としました。特に「パン」は、値上げする品目の4割が電気代の上昇を要因としています。

すでに電気料金の上昇分を販売・サービス価格に転嫁できない企業も増えています。今後も電気料金の値上げが続くと見込まれる中で、事業継続が難しくなる企業が増えることが予想されます。

《どう見るか》