《本記事のポイント》
- 左翼メディアは、北朝鮮問題は「対話」で解決しようとのスタンス
- 今までも「話し合い」はさんざん行ってきたが、解決できていない
- 反戦運動の盛り上がりで、「世界の警察官」の手足を縛るのは危険
北朝鮮の核開発問題について、28日夜(日本時間)より、国連の安全保障理事会で閣僚級会合が行われる。
北朝鮮と関係が深い中国、ロシアは対話を模索しているが、アメリカのトランプ大統領は軍事力行使を含めた「あらゆる選択肢」を検討するとしている。
日本では、軍事力ではなく外交手段による問題解決を主張するメディアが多いが、思惑の違う各国で北朝鮮に対する対応がまとまるかどうか、やや疑問がある。
対話による解決を強調する左翼メディアの社説
東京新聞は4月11日付で以下のような社説を出し、武力行使の危険性を強調した。
- 国際合意も、確たる外交戦略もないまま、いわば即興的に武力行使を強行する――。トランプ政権にはそんな危うさがあることを国際社会に知らしめたのが、シリア攻撃だ。
- このままでは北朝鮮への「独自対応」は現実味を帯びてくる。そうなれば日本や韓国が北朝鮮の武力攻撃にさらされ、大きな被害を受けることが懸念される。
翌12日付朝日新聞の社説も、アメリカが武力行使をすれば日本にも危機が及ぶと不安を煽る。
- 米国が北朝鮮への軍事行動に踏み切れば、韓国だけでなく、日本も反撃の対象となる可能性が高い。北朝鮮は在日米軍基地が攻撃対象と公言している。そんななか、安倍政権が米国の「力の誇示」を評価する姿勢を示していることに疑問を禁じ得ない。
では、北朝鮮問題はどのように解決したらよいのか。
12日付の朝日新聞社説は、「対話」こそ重要であると強調する。
- 米国が対話を拒んだことが、結果として、北朝鮮の核・ミサイル開発を進展させた面もある。北朝鮮が非核化措置をとるまでは交渉に応じないとするオバマ政権の「戦略的忍耐」が、北朝鮮に核実験などを繰り返させたことは否めない。
- 大事なのは、対話による危機回避の道筋を描くことだ。
東京新聞の26日付社説では、北朝鮮との関係が深い中国に期待を寄せる。
- 中国は、北への石油供給削減など軍事挑発に歯止めをかける実効性ある措置を講じてほしい。
- 非核化に向け北朝鮮を説得し行動を起こさせる役割を果たしてこそ、中国の国際的威信も高まるのだ。
これらの主張をまとめると、以下のようになる。
- 軍事力を前面に出すと、日本や韓国も反撃の対象となり、被害を受ける。
- 対話を拒んだことで北朝鮮が暴発してきたので、対話による危機回避の道筋を描くべき。
- 北朝鮮に影響力を持つ中国に説得してもらうことが最善。
「話し合い」では解決しない
武力行使には確かに大きな被害が伴う。外交的な方法でこの問題が解決できるのが最善だろう。
だが、左翼メディアがいう「話し合い」は、これまでもなされてきた。
話し合いによる解決といえば、日米中露韓と北朝鮮の外交担当者で北朝鮮の核問題を協議する「六カ国協議」が代表的だ。
だが、協議における取り決めを北朝鮮はことごとく反故にして、核開発を続けてきた。2007年4月以降は交渉のテーブルにもつかず、会合自体が開かれていない。
対話を拒否して力に訴えてきている相手に対し、「話し合おう」というのは無意味な努力だ。
オバマ政権下で核実験が繰り返されたのは、「対話を拒んだ」ことによるのではなく、アメリカが「世界の警察官をやめる」と宣言し、化学兵器を使用したシリアのアサド政権について具体的な行動に出なかったからである。
「何をしても攻撃してくることはない」と、弱気を見透かされたのだ。
一方、トランプ政権がにらみをきかせ始めてからは、北朝鮮もやや慎重に動いているようにも思える。
人民軍創建85周年となる25日には、核実験やミサイル発射など、国連安保理違反の挑発行動に出る可能性が指摘されていたが、砲撃訓練にとどめた。アメリカの反応を恐れてのことだと見られている。
中国には期待できない
また、中国に解決をゆだねるとの選択肢は、あまり期待できない。
中国にとって、北朝鮮は緩衝地域としての意味がある。本格的に経済制裁を加えれば、北朝鮮の体制が崩壊し、アメリカの同盟国である韓国に飲み込まれてしまうかもしれない。とはいえ、北朝鮮問題に非協力的だとされれば、アメリカは中国に対する圧力を強め、米中貿易の不均衡にメスを入れてくる。
アメリカが"余計なこと"をしなければ、北朝鮮とは持ちつ持たれつの関係を維持できるわけで、中国としては現状を引き伸ばしたいというのが本音だろう。
そのため中国は、左翼メディアが主張するように、「アメリカが軍事行動に出たら、日本も攻撃される!」と、日本国内で"反戦運動"が盛り上がることを期待しているはずだ。
反戦の世論が高まり、安倍政権の支持率が落ちれば、日本も「軍事行動は控えてくれ。有事の際も支援できない」などとアメリカに主張するかもしれない。そうしたら、アメリカもますますやりにくくなるのでは……。そんな考えではないだろうか。
警察官がいない世界は危険
だが、アメリカの手足を縛れば、北朝鮮と中国をますますのさばらせることになる。
「ならず者国家」が存在する限り、国際社会にも「警察官」が必要だ。「警察官」がいなくなった世界では混乱が増える。誰かが国際正義を守る役割を果たさなければ、国際社会は混沌とする。
トランプ大統領が北朝鮮に軍事的な圧力をかけ、具体的行動も辞さないのは、アメリカ本土に届く核ミサイルをつくらせないという「自衛」の観点からだけではない。
周辺国を核で脅し、自らの体制を維持しようという金政権の存在は、神の正義に反するからだ。
アメリカが攻撃に出れば、日本や韓国にも少なからぬ被害が及ぶ可能性は高いが、アメリカを批判するのはお門違いというものだ。
北朝鮮がこれ以上、核・ミサイル技術を高めれば、日本はいずれにせよ危機にさらされる。
むしろ、日本は、北朝鮮を長らく放置してきたことを反省すべきだろう。
金体制が長く続いていることによって、北朝鮮の国民も苦しんでいる。唯物論独裁国家は誰も幸福にしない。
可能ならば、金正恩氏が潔く負けを認め、平和裏のうちに北朝鮮が自由を尊重する国に変わることが望ましい。それが難しいならば、少しでも被害が少ない形で、不幸な体制が終わることを願いたい。
(小川佳世子)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『危機の中の北朝鮮 金正恩の守護霊霊言』 大川隆法著
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2017年4月11日付本欄 トランプが北朝鮮を攻撃する日、日本が覚悟すべき3つのこと