2017年2月号記事
第53回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
官邸から靖国は2km
真珠湾は6000km
2016年12月末、安倍晋三首相が、アメリカのハワイでオバマ大統領と会談し、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊します。
「オバマ大統領が5月に広島を訪問"してくれた"ことへの恩返し」とも言われています。確かにあの時、左派も右派もが喜び、参院選前に支持率が大きく上がりました。
さらに安倍首相は、今回の慰霊で、またもやマスコミを喜ばせて支持率を上げ、"真珠湾解散"に踏み込むのではないかとも囁かれています(12月15日現在)。
250万の英霊は素通り!?
こうしたニュースを聞いて、私は耳を疑いました。
なぜ安倍首相は、官邸からたった2キロしか離れていない靖国神社を参拝しないで、6千キロ以上離れたハワイで慰霊ができるのでしょうか。我が党は、毎年8月に靖国神社を参拝していますが、なぜ日本を守るために命を賭した250万人の英霊たちの横を素通りできるのか、分かりません。
そもそも、民間人が10万人以上も亡くなった広島原爆と、軍用施設のみが攻撃された真珠湾攻撃とでは、意味がまったく違います。それをあたかも同列に並べ、「互いに慰霊し合って、和解する」という演出をする―。
安倍政権は「マスコミ受け」を狙いすぎだと思います。
また、安倍首相の真珠湾訪問を受け、中国外務省が、「中国には南京大虐殺記念館など多くの慰霊の場がある」とコメントしました。どうしても海外に慰霊に行きたいなら、「天安門広場への慰霊も検討したい」くらい言い返すべきです。
天安門で当時、立ち上がった活動家の方と対談したこともありますが、自由を求めて、中国共産党に戦車と銃で虐殺された、十万人規模とも言われる中国国民に哀悼の意を捧げるとともに、唯物論国家に、魂の不滅と、供養の意味を教えて帰って来てはいかがでしょうか。
真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊するアリゾナ記念館。
トランプ政策は幸福実現党に酷似!?
もう、「ご機嫌取り政治」は終わりにしていただきたいのです。
2017年1月に、アメリカではドナルド・トランプ氏が大統領に就任しますが、減税や規制緩和、外交・防衛において、「強いアメリカ」が復活してきます。
選挙中、マスコミの59社中、57社がアンチに回る中、トランプ氏が勝利した「トランプ革命」は、米国民がメディアの報道に愛想を尽かした「マスコミ革命」でもありました。
トランプ氏の人事を見ていても、これまでの「常識」を覆す、新政権の方針が伺えます。
例えば、労働長官に起用されたのは、ファストフード大手の経営者です。彼は、日本で"流行"している最低賃金引き上げが、かえって雇用を減らし、労働者の利益を損ねるとして異議を唱えてきました。
保健福祉長官には、アメリカの左傾化の象徴であった「オバマケア」の見直しを訴える議員が就任します。
環境保護局長官に起用される人物は、「パリ協定」をはじめとする温暖化対策に反対する人物です。「地球温暖化対策」の名の下に、さまざまな分野で企業の負担が大きくなっていましたが、その流れにもストップがかかるでしょう。
大規模な減税政策も含め、トランプ新大統領の政策は、幸福実現党の政策と酷似していることに、読者の皆さまはお気づきかもしれません。
「ご機嫌取り政治」は限界
私たち幸福実現党は、「ご機嫌取り政治」はしません。マスコミや野党連合支持者のご機嫌を伺う政治は、国の方針を過たせる上に、有権者の方々に対しても失礼ではないでしょうか。
外交でも同じです。安倍首相は11月にトランプ氏と会談した際は、ゴルフクラブを贈呈したそうですが、トランプ氏はそのようなもので心動かされはしないでしょう。同氏の関心は「安全保障のほとんどをアメリカに依存しているという不誠実な状況を、日本がどう考えているか」であり、「アジアの自由と民主主義をいかに守るか」であるはずです。
もし幸福実現党が与党なら、トランプ氏に「ゴルフクラブ」を持っていくのではなく、「防衛費の倍増」を約束するなどの誠意を示したいと思います。そうした本音の政治が、求められているのではないでしょうか。