アメリカ大統領選の候補者による第3回のテレビ討論会が19日(日本時間20日)、西部ネバダ州のラスベガスで行われた。テレビ討論会は、今回で最後。運命の投票は、現地時間の11月8日に行われる。

今回議論になったのは、「最高裁」「移民」「経済」「大統領としての適性」「海外の紛争地」「国家の債務」などのテーマだった。

過去2回の討論会で議論されなかった「移民問題」について、共和党候補のドナルド・トランプ氏は、「私たちには強い国境が必要だ。国に麻薬を入れないようにしなければならない。(中略)悪い奴(不法移民)がアメリカにいる。奴らを追い出すつもりだ」と訴えた。

これに対し、民主党候補のヒラリー・クリントン氏は、移民であるために両親が迫害されてきたという、ラスベガスで出会った少女について言及。「私は家族を離れ離れにさせたくない。トランプ氏が実行しようとしている国外追放が行われるのを見たくない」と述べた。

大統領選で不正投票が横行?

今回の討論で最も注目されたのは、トランプ氏が「選挙結果を受け入れない可能性」を示唆したことだった。

「選挙結果を受け入れると約束できるか」という質問に対し、トランプ氏は「その時に判断する」と発言。これについて、クリントン氏は「恐ろしい」としつつ、「不利になるといつも不正を訴える」と批判した。

これまでトランプ氏は、「大統領選で不正投票が横行している」と訴え続けていた。投票権のない不法移民による投票や二重投票があったという。

アメリカでは投票用紙を使わない電子投票が普及しており、来月の投票でも、有権者の4分の1が電子投票を行うと見られている。だが、紙の記録が残らず、老朽化したタッチ画面では投票を操作することが可能であると指摘されているため、不正投票に対する懸念が残っているのだ。

実際、10月に行われた調査によると、トランプ氏支持者のうち48%が、クリントン氏支持者のうち13%が、電子投票の正確さを疑っている(16日付POLITICO電子版)。

調査報道記者のグレッグ・パラスト氏は、保守系の億万長者の指示により、有権者登録データが不正に操作され、共和党候補者に対する二重投票が行われていたことを指摘した。

また、パラスト氏は、過去10年間の大統領選で、590万人分の有権者の票が無効になっていたと指摘。これらの票の大半は、民主党候補に投票する可能性が高い黒人の票だったという(12日付JBPRESS電子版)。

ただ、こうした不正投票について、共和党のポール・ライアン下院議長や共和党弁護士団らは否定している。

アメリカを再び偉大な国に

最後に、両候補は、以下のように締めくくった。

クリントン氏:「私はすべてのアメリカ人のための大統領になる。女性や家族のために政治に取り組み、これからもそのために戦う」

トランプ氏:「再びアメリカを偉大にしなければならない。我々には法と秩序が必要だ。オバマ政権をもう4年間続けてはいけない」

アメリカの大統領は単なる一国の指導者ではない。その判断は、世界の未来をも左右する。現在、国際社会の最大の課題は、軍事独裁の中国が、アメリカに代わって次の覇権を握ろうとしていることだ。

投票日まで約20日。次の大統領選は、この脅威に敢然と立ち向かえる人物でなければならない。

(山本泉)

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