外国人労働者の受け入れについては賛否ある。日本の人口減少とそれに伴う労働力の減少を補うためには必要だが、企業が過酷な労働をさせるのではないか、あるいは逆に、外国人が増えて治安が悪化するのではないかと懸念する声もある。
そんな中、安倍晋三首相は、国家戦略特区諮問会議において、農業分野で一定の実務経験を持つ外国人労働者の受け入れを検討することを発表した。人口減や高齢化による労働力の不足を補うことが狙いだ。
特に農業分野では労働力不足が深刻なため、外国人の受け入れは進めるべきだろう。
親日外国人の増加につながる受け入れを
日本人が考えている以上に、日本で働きたいという外国人は多い。日本はアジアの大国であり、戦後の復興や高度経済成長など、ほとんど奇跡ともいえる発展をとげた憧れの国。日本の高い技術力や独自の文化に関心をもつ外国人も多い。
実際、日本に働きに来る外国人は増え続けている。昨年10月末の調査によれば、外国人労働者の数は、届け出の義務化以来3年連続で過去最高を更新している。
しかし、日本に働きに来たことが、彼らにとって必ずしも良い結果となっているとはいえないのが現状だ。
過酷な労働を求められた結果、行方不明になってしまうケースも少なくない。また、16日付朝日新聞では、2011年に来日したフィリピン人の外国人技能実習生が心疾患で亡くなった件が、過労死と認定されたことが報じられている。
良い結果になった場合はニュースにならないため、こうした不幸なケースが全てというわけではないが、このままでは、外国人労働者の受け入れ増加と同時に増えていくことが予想されるのも確かだ。
日本に働きに来た人が、しっかりと技術を身につけると同時に、より日本を好きになってくれることが大切である。そうすれば、将来制度が整って日本に住み続ける選択をしても、母国に帰ったとしても、日本と母国の発展のために活躍してくれるはずだ。
変えるべきは「日本人の日本に対する認識」
そのために必要なのは、「日本人の日本に対する認識」を変えることではないだろうか。
日本では、外国人労働者や移民に対する警戒感が強いといわれる。しかし、明らかに日本はアジアのリーダー国家であり、他のアジア諸国とともに、地域の平和と繁栄をリードする使命がある。また、警戒感が強いといわれる割には、親日的な外国人に好感を抱く人が多いのも事実だ。
外国人労働者受け入れの制度を整えると同時に、「アジアのリーダー国家としての日本」の心構えを、日本人の中に育てていく必要がある。(増)
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