慰安婦問題について、自民党の桜田義孝・元文部科学副大臣が、14日に開かれた会合で、「職業としての娼婦、ビジネスだった。これを何か犠牲者のような宣伝工作に惑わされ過ぎている」と発言した。
菅義偉官房長官は同日、「(同問題に対する)政府や党の考え方は決まっている。自民党の国会議員であれば、そうしたことを踏まえて発言してほしい」と苦言。与野党から批判の声が相次いだため、桜田氏は同日中に発言を撤回した。
政府は、昨年末の日韓外相会談で、慰安婦問題の「日本軍の関与」を認める「日韓合意」を結んでいるだけに、火消しに躍起になっている。
桜田氏の発言は間違いではない
今回の発言は、言い方の問題はあるものの、間違いであるとは言い切れない。女性を慰安婦として働かせたのは、業者であり、ビジネス関係にあったことは事実だ。当時は、慰安婦を募集する新聞広告も多数存在している。しかし、生活苦などで意に反して働かされた女性もいたことは事実で、桜田氏は、そうした女性に対する配慮を欠いていた。
一連の騒動は、日韓合意に端を発する。この合意は、保守層からの批判を招いたが、「日本軍が慰安婦を管理したのは事実だから、合意は仕方がない」と評価する向きもある。だが海外では、その関与が「慰安婦は性奴隷」「慰安所はレイプセンター」などと認識されているため、外交的な失敗と言える。すぐに日本政府は、日韓合意を撤回すべきだろう。
河野・村山両氏も日韓合意を評価
逆に、日韓合意を称賛しているのは、慰安婦問題などで安倍政権を批判してきた人たちだ。以下、その一部を紹介する。
河野洋平元衆院議長は、「昨年の暮れに突然、合意ができて大変喜んでいる」(14日のBSフジの番組)
村山富市元首相は、「一応の解決のメドが付き、よかった。安倍さんもよく決断した」(昨年12月28日の記者会見)
共産党の志位和夫委員長は、「問題解決に向けての前進と評価できる」(12月28日に発表した談話)
公明党の山口那津男代表は、「非常に良い結果だ。これを機に、日韓関係が発展、深化へと向かうのは間違いない」(12月28日の記者質問)
いずれも、反日的な歴史認識に立つ人物が、日韓合意を評価している。安倍政権の歴史認識は、結果的に、こうした左翼的な陣営と同じだと言わざるを得ない。
日韓合意は、「安倍政権は今後、自虐史観を払拭しない」と国内外に宣言したに等しい判断だ。後世の人々からは、安倍首相は、「謝罪外交で悪名高い村山元首相と同じ過ちを繰り返した」と、記憶されるだろう。
(山本慧)
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