米エジプト首脳が初会談 オバマ時代に冷え込んだ両国関係を温め直すトランプ外交
2017.04.08
《本記事のポイント》
- トランプ氏はオバマの外交政策を「チェンジ」
- オバマ政策により、テロの件数は激増していた
- アメリカは「世界の警察官」に戻るべき
トランプ米大統領は3日、エジプトのアブデル・ファタハ・アル・シシ大統領をホワイトハウスに招いて会談した。
オバマ前大統領は、人権問題を理由にシシ氏を一度もホワイトハウスに招待しなかったが、トランプ氏は今回、テロ対策などでシシ政権と連携を強化する考えを強調した。
トランプ氏はシシ氏について、「大変な難局に素晴らしい働きをしてきた」と賞賛 (4日付AFP)。一方のシシ氏も、「トランプ大統領は邪悪なイデオロギーに対し非常に力強く立ち向かっている」と評価した。両者は中東和平交渉の連携で一致した(3日付ロイター)。
「イスラム国」などの掃討作戦を最優先課題に掲げるトランプ氏は、オバマ前政権の中東方針を大きく軌道修正し、エジプトと協力的な姿勢を示していることが分かる。
オバマの外交政策を「チェンジ」するトランプ
もともと、アメリカとエジプトは密接な同盟関係にあった。しかし、2013年のクーデターで前政権を倒したシシ氏は、半ば強制的に政権を掌握。オバマ政権は、反対派を多数拘束したシシ政権を「人権侵害」と批判した。それ以来、アメリカがエジプトへの大型兵器の供給や年間約13億ドル(約1450億円)もの軍事支援を一時凍結するなどしたために、両国の関係は冷え切っていた。
しかし、アメリカの軍事支援はISの勢力拡大を抑止する役割もあった。
オバマ氏が大統領に就任した2009年のテロ件数は約5000回だったが、その5年後の14年には約1万4000件へと急増。その最大の要因はイスラム過激派勢力の拡大であった。勢力拡大の背景には、11年のイラクからの米軍撤退や、13年のオバマ氏の「世界の警察官をやめる」宣言などがあるだろう。
現在も、エジプトのシナイ半島では、軍や警察がイスラム過激派と衝突しており、多数の死者が出ている。トランプ氏が選挙期間中にオバマ氏を「ISの創設者」と揶揄したのは、こうしたオバマ外交の失敗が中東の不安定化を招いたという考えがあったといえよう。
トランプ氏はオバマ氏と打って変わって、今回の会談では、人権問題に触れず、エジプトへ惜しみない支援をすると宣言した。これはアメリカが中東におけるテロや紛争の問題を解決するために協力を申し出たことを意味する。アメリカが再び「世界の警察官」に返り咲く流れの一つと捉えられるのではないだろうか。
アメリカは他国と協力して問題解決をリードすべき
トランプ氏の外交政策について、大川隆法・幸福の科学総裁は、アメリカ大統領選でトランプ氏が当選した翌日に行った英語法話「On Victory of Mr. D. Trump」 (邦題:トランプ新大統領で世界はこう動く) において、次のように述べている。
「バラク・オバマ氏は、いかに人権を守るかを重視していましたが、この点は、アメリカが『強さ』を取り戻すことで実現されるだろうと思います。(中略)アメリカは他国と協力すべきであり、再び『世界の警察官』の役割を担うべきであると思います」
トランプ氏は大統領就任後、イラク、カタール、クウェート、アフガニスタンなどの中東各国の首脳と相次いで電話会談を行い、テロ掃討などで協力していく姿勢を確認し合った。地域の安定のためにリーダーシップを発揮するトランプ氏の中東政策の成果に注目したい。(智)
【関連書籍】
幸福の科学出版『トランプ新大統領で世界はこう動く』大川隆法著
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