トランプ革命で揺れる日本企業 グローバル化から舵を切る時がきた
2017.02.03
《記事のポイント》
- トランプ氏の動向で、自動車メーカー「マツダ」が戸惑っていると報道
- グローバル化の中で、日本企業は潤ったが、日本経済は停滞した
- 「強い日本」の復活が必要
トランプ米大統領の動向に、日系自動車メーカーが揺さぶられている。
その中でも、広島に本社工場を置くマツダの株価の下落が目立つ。1月5日と2月1日の終値の比較では15.6%も下落しており、ホンダ、トヨタ、日産など自動車大手7社の中でも際立っている(2日付朝日新聞)。
同紙は、「米国市場は、『稼ぎ頭』だが、ほかの日系自動車メーカーに比べて輸出の比率が高い。米国向けの拠点として拡大しているメキシコ工場も標的になりかねず、戸惑っている」と報じる。
1月上旬、トヨタがメキシコに建設している工場に対して、トランプ氏は「米国内に工場を建てろ。さもなければ、高い関税を払え」と指摘。トヨタは米国内の工場の生産や雇用を増やすことで妥協点を探る。
だが、マツダは他社とは事情が異なる。2011年にアメリカでの生産を停止し、14年にはメキシコの工場を稼働させ、アメリカやヨーロッパへの輸出の拠点としている。この状態で、トランプ氏が、北米自由貿易協定(NAFTA)を見直し、米国への輸入品に高い国境税をかければ、マツダは大きな打撃を受ける。
人件費の安いメキシコで生産したものをアメリカに売るというビジネスモデルは難しくなりそうだ。
グローバル化で日本経済が弱っていった
トランプ氏が海外からの輸入品に高い関税をかけると言っているのは、賃金の安い海外に流出した工場を呼び戻し、米国内での雇用を増やす狙いがある。多くの日本企業も、アジアを中心とした人件費の安い国々に工場を移し、その国や周辺国で売って利益を上げているが、ここには一つ問題がある。
それは、国境を越えて、地球全体を一つの市場として捉える「グローバル化」によって企業が利益を得る一方で、日本国内の雇用を減らし、本来、日本に納められるべき所得税や法人税が失われ、日本経済が弱っていくという面だ。
現在、全国の書店で発売中の本誌3月号の記事「製造業が日本に戻る日」では、グローバル化が進む中で、日本企業が潤ってきた反面、日本経済は衰退し、中国が国力をつけて軍事拡張してきた事実を伝えている。
同記事では、こうした状況を打開するためにも、トランプ革命に対応するためにも、日本企業が取り戻すべきものと、日本政府が果たすべき役割について提言している。
トランプ政権下で「強いアメリカ」の復活を目指すのであれば、日本も「強い日本」の復活を目指すべきだ。いま日本の政府や企業には、大きな決断が迫られている。
(片岡眞有子)
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