写真:AP/アフロ

2017年3月号記事

思いつき? 狂気? それとも―

トランプの深謀

ついに、アメリカで新政権が発足した。選挙中と変わらずツイッターで発信される"暴言"に、「危険人物」の印象がつきまとうドナルド・トランプ大統領。一体、何を考えているのか。

(編集部 大塚紘子、山本慧)


contents


Interview

アジア問題専門の米コラムニスト ゴードン・G. チャン アメリカ現地取材

アジアのリーダーは中国ではなく日本

国家通商会議委員長ピーター・ナヴァロ氏の友人である米コラムニストは、

トランプ政権の今後をどう見通すか。 米ニューヨークに飛んで、インタビューを行った。

(編集部 長華子)

(Gordon G. Chang)1973年、米コーネル大学卒業。中国・上海の法律事務所勤務を経て、コラムニストに。多数のテレビの他、国家通商会議委員長のピーター・ナヴァロ氏制作のドキュメンタリー「Death by China(中国がもたらす死)」などにも出演。著書に『やがて中国の崩壊がはじまる』(草思社)などがある。

─中国に対するアメリカの対応が、長らく甘かったのはなぜでしょうか。

チャン氏(以下、チ) : これまでアメリカは、中国をWTOなどの世界的なシステムに組み込めば、条約や慣習を守るだろうと考えていました。しかし、中国が世界のルールを尊重する気がないのを目の当たりにして、中国との関係を再評価すべきだと考え始めています。

─トランプ氏の経済政策で、アメリカは中国から雇用を取り戻せますか。

: すでにアメリカは雇用を取り戻し始めています。ロボットのコストは中国のほうが高いので、オートメーション化が進んだ分野では特に、アメリカに戻る企業は多くなるでしょう。トランプ氏は、このプロセスを早めていくことになります。すでにフォードはメキシコから工場をアメリカに移すと決めましたね。

何より影響が大きいのは、減税や規制緩和といった政策です。これらはアメリカ経済を上向かせ、企業がアメリカに留まろうとする動機にもなります。

アメリカに繁栄を築くこと。これが最も大事なのです。

次ページからのポイント

日本がやるべき「3つ目の矢」

経済評論家 渡邉哲也氏 インタビュー

繁栄する日米こそ、無敵