(『平和への決断』第6章「平和への決断」より抜粋・編集。2010年12月19日収録)

アメリカは二〇一三年までに北朝鮮問題を片付けるだろう

北朝鮮については、今の体制のままでの国家の存続を許すわけにはいかないと私は考えています。ただ、ほとんど限界状況まで来ていると思われるので、近年中に、何らかの決着をつけなければならなくなるでしょう。

北朝鮮は、軍事独裁国家です。しかも、非常に抑圧的な体制で、二千万人余りの国民は、ここ数十年の間、非常に圧迫された苦しい状況に置かれ続けています。特に近年は、食料が十分にない状況が続いているのです。

したがって、決着をつけなければいけない時期が来ていると考えています。

私が最も恐れていたのは、ロシア、北朝鮮、中国等が連帯を組むことでした。これを最も恐れていたのですが、幸いにして、ロシアは、砲撃事件のあと、北朝鮮を非難する声明を出しました。ロシアが、「北朝鮮と同じような流れには入らない」という態度を示したことは、よかったと思っています。

つまり、「ロシアは、領土問題で日本と対決するよりも、サハリンやシベリアの経済開発を通して日本と交流するほうが、利益は大きいと見た」ということです。要するに、これは、「領土問題で中国や北朝鮮と足並みを揃え、『領土を取る』と一生懸命に言うよりも、日本との経済交流を深めるほうが、ロシアの将来にとってはよいと判断している」という意味なのです。それについては、望むべきところでした。やはり、そのようにあるべきだと考えています。(注。その後、二〇一一年二月、ロシアは北方四島近海に揚陸艦二隻を配備する方針を発表した。これは、続投に向けたメドベージェフ大統領の軍部へのPRと思われ、日本に対する脅威とは考えていないが、予断を許さない状況ではある。)

この北朝鮮の問題について、私は、次のように予測しています。

昨年十一月、アメリカで中間選挙が行われましたが、民主党が一九三八年以来の歴史的な大敗北を喫しました。そのため、次の二〇一二年の大統領選挙では、おそらく、共和党に政権が返ってくるだろうと考える人もいます。

そうなれば、世界の流れがまた変わってくるので、日本も、何とか持ち堪えられるかもしれません。そのように、私が望んでいた方向に、今、戻ってこようとはしています。

一方、中国は二〇二〇年までに空母艦隊をつくろうとしていますが、自国で建造した最初の空母が就役するのは、二〇一四年と推定されています。そして、中国の空母艦隊が東シナ海に配置されたならば、アメリカとの間で、紛争になる可能性がかなり高まってきます。

したがって、私は、「アメリカは、北朝鮮の問題を二〇一三年ぐらいまでに片付けようとするだろう」と見ています。つまり、「現在の金正日体制は(あるいは金正恩体制になるかもしれませんが)、あと二、三年以内に終わりを迎える可能性が高い」と、今、私は判断しているのです。

アメリカ軍は、二〇一一年七月、アフガニスタンから撤退を開始する予定ですが、今述べたことは、その撤退が終了したあとに続いて起きると思われます。

アメリカの空母から、夜間にステルス戦闘機が発進し、超低空で飛んで爆撃をすれば、戦争はあらかた終わるでしょう。おそらく数時間で決着がつきます。したがって、平壌攻撃はおそらくするはずです。それは、アメリカにとって、中国の空母が就役する前にやらなければいけないことだからです。その準備はもう始まっていると思います。

今、北朝鮮と韓国は睨み合っていますが、冷戦状態が終わらず、一つの民族が二つに分かれて睨み合っている状態が延々と続くことは、必ずしもよいことだとは思いません。ただ、「どちらの体制を選ぶか」ということであれば、私は、やはり、「韓国のものの考え方のほうが、国民をより幸福にする」と考えます。したがって、かつて西ドイツが東ドイツを吸収したように、韓国の体制が北朝鮮を吸収するかたちで朝鮮半島が統一されることを希望しています。

中国では、まもなく「政治対経済の戦い」が始まる

中国も、これから二〇二〇年までの間に、非常に難しい時期を迎えると思います。当会の霊言集によれば、中国による日本の植民地化など、危機の予言も数多く出ていますが、私は、中国については、この十年の間に、民衆の立場に立った幸福な方向に国が変わることを心より望んでいるのです。

中国は今、軍事的に拡張し、覇権をアジアからアフリカまで広げようとしていますが、この覇権を広げようとする流れは、残念ながら、将来的には大きな世界大戦を呼ぶ動きです。このまま行けば、必ずそうなると思います。

したがって、中国には、やはり、一定のところで行き詰まっていただきたいと思っています。そして、内部から民主化や自由化の流れが起き、その政治的な流れが、ある程度、西側と話し合えるレベルにまで、体制を変えていくのが望ましいと考えています。

私は、そのように、柔軟で、人々の意見を聴けるような体制に中国を変えていきたいのです。そのためには、「思想の力」も非常に大きいと思っています。

現在、十三億人という世界の約五分の一の人口を誇っている国が、国民にノーベル平和賞受賞者の名前も顔も知らせず、情報封鎖をしています。こうしたことが今の時代にありえること自体が、異常であると思います。

彼らは、情報鎖国をしており、国民を完全に管理できると考えているようです。「由らしむべし、知らしむべからず」ではありませんが、「国民は、とにかく、党中央部の意見を聴いていればよいのだ」ということになっているのでしょう。

しかし、中国国内では、これから「政治」対「経済」の戦いになります。

私は、幾つかの本に書きましたが、「おそらく経済原理のほうが勝つ」と考えています(『社長学入門』『未来創造のマネジメント』〔共に幸福の科学出版刊〕等参照)。霊言集のなかには、「政治原理のほうが暴走する」という予言も数多く出ていますが、私としては、「経済原理のほうが勝つ」と見ているのです。

経済原理とは何かというと、「自由が保障されないところに、基本的に繁栄はない」ということです。経済の原点は商売ですが、商行為というものは、自由にできなければ、基本的に発展・繁栄をしないのです。

計画経済がある程度うまく行き、統制経済下での発展があるように見えても、一定のところで必ず破綻することになっています。なぜなら、「中央政府が、経済の隅々まですべてを管理する」などということは不可能だからです。

計画経済というのは、非常に低いレベルから重工業国家に上がっていく段階までは可能です。あるいは、軍事国家をつくっていく過程では可能です。しかし、真に「自由からの発展」を目指す国家になってくると、できなくなってくるのです。その段階では、個々の起業家や経営者の力など、個人の努力の総合が、国の経済的な力に変わってくるからです。

したがって、まもなく、政治対経済の戦いが始まってくるでしょう。それは、中国の政治家にとって、体面上、よろしくないことかもしれませんが、必ずそうなると思います。

かつて、ソ連とアメリカは実際の戦争をすることなく、冷戦として“第三次大戦”を戦いましたが、それと同じような仮想大戦として、中国対アメリカの“第四次大戦”が起きないことを私は祈っています。

今の中国の政治体制は、国民に「情報を入手する自由」を与えた段階で崩壊するでしょう。国民に情報を開示し、意見を自由に言わせる状態をつくった段階で、民主的な新しい体制に変わります。できれば、そうなることが望ましいと考えています。やはり、あれだけ大きな国で、複数の意見が出ないのは、おかしいことです。党中央部以外の考えすべてを、国家に対する犯罪のように扱い、異端排除していくのは、異常なことなのです。

そして、新しい体制へ移行する過程において、日本との関係が見直されていく必要もあるであろうと考えます。

中国の人々は、観光客としてかなりの人数が日本に来ているので、個人のレベルでは、少しずつ意識が変わってきていると思いますが、最終的には、政治レベルでの変革が必要です。これからの十年間、民主化への戦いを続け、国家として新しい中国に生まれ変わっていただきたいと考えています。

繰り返しますが、国家としての北朝鮮は、できれば近年中に、韓国に統一されるかたちで併合されることが望ましいと私は考えています。中国に関しては、政治体制が変わり、自由と民主主義の国、国民が繁栄を目指せる国になっていくことを望んでいます。

そのために、私としては、思想の次元で、できるだけ情報を発信し、中国内部に伝道を進めていきたいと考えています。大きな戦争が実際に起きないように世界を導いていければ幸いであると思っています。

平和への決断―国防なくして繁栄なし
大川隆法著
幸福実現党出版刊
1,575円(税込)

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