2025年4月号記事

第10回

釈量子の宗教立国への道

幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

釈量子

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

"参議院"を白紙の目で見てみる

第六条

新・日本国憲法 試案〔第六条〕

大統領令以外の法律は、
国民によって選ばれた
国会議員によって構成される
国会が制定する。
国会の定員及び任期、構成は、
法律に委ねられる。

新・日本国憲法 試案
『新・日本国憲法 試案』
大川隆法著
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憲法試案〔第六条〕は、統治機構のなかでも立法府に関する条文です。〔第三条〕では行政の長である大統領の強力な権限について紹介しましたが(本欄第7回)、その権限を具体化した「大統領令」とは別に、各種の法律を制定する「国会」を定義づける内容です(大統領令の詳細については別の回にて触れる予定)。

行政効率を妨げる参議院

実はこの条文では"書かれていること"以上に"書かれていないこと"が重要と言えます。現行憲法で「国会」について記された第四章は、その任期や選出方法・議事手続きなどが全24条にもわたって定められています。それが本試案では抜本的に簡素化されているところが肝です。

なかでも最大のポイントは、「衆議院と参議院の二院制」についての記述がないことです。大川総裁はかねてより「参議院という存在は不要であると見えます」(*1)と指摘しており、幸福実現党もかつて"参議院廃止を訴えて参院選を戦う"という問題提起を行ったことがあります。

というのも白紙の目で見れば「現在の二院制は、行政効率を非常に妨げるものになっている」ためです(*2)。本来、参議院は「良識の府」だとされています。しかし実態は「政争の具」になっていると言わざるを得ず、特に与党に対して万事反対する野党勢力が多数派を占める「ねじれ」が起きた場合、法案は通らず、景気対策などスピードが優先される政策も遅れます。この遅延は、安全保障にかかわる議論などにおいても、致命的と言えます。

かたや「両院があることで充実した議論が尽くされているか」と言えば、首相や閣僚が二度にわたって国会答弁をする状況は、「衆議院のカーボンコピー」とも揶揄されます。

「立法府の良心」であることが期待される参議院に、タレント政治家が目立つことに、首を傾げる人も多いでしょう。

(*1)1989年の法話「成功理論の新展開」
(*2)『新・日本国憲法試案』

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国会議事堂の向かって右側が参議院。

参議院廃止、賢人招来、廃法府など発想はさまざま

もし参議院を廃止すれば、政治のスピードが倍になります。さらに、「議員一人当たり約2181万円の歳費×248人の参院議員=54億888万円」という血税が節約されれば、赤字も圧縮されます。

参議院廃止は一つの"一転語"的な選択肢ですが、大川総裁は他にもさまざまな柔軟な形を提言しています。

例えば「明治時代の貴族院のように」(*3)ドブ板選挙は馬鹿馬鹿しくてやっていられないが、立派な見識を持った経営者や有識者などの「賢人」を、選挙とは別の原理で選ぶ発想もあり得ます。

あるいは、増えすぎて時代に合わなくなった法律を見直していく「廃法府」にするというアイデアもあります(*4)。

また、参議院が必要とされる理由の一つに、「衆議院が解散し、選挙が行われている時に政治的空白をつくってはいけない」という考え方があります。これについては、もし選挙中に国防上の危機などが起きれば、「(前の選挙で)上位当選した二割の議員が集まって臨時参議院のようなものを形成し、国政の判断」を行う(*2)といった案もあり得ます。

こうした国会の在り方は本来、時代や政治状況によって求められるものが違うため、法律によってある程度、柔軟に変えられるようにしておくべきと言えます。しかし具体的な形を憲法にまで書き込んでしまうと、例えば現行憲法は改憲には参議院も三分の二以上の賛成が必要で、"自分たちをクビにする国会改革案"が通るとは考えにくいため、「本当の硬性憲法」(*2)になってしまうのです。

「(参議院が)本当に必要なものかどうか、もう一度、考えてみようではありませんか。小さな政府、機動的な政府を、やはり、つくらなければいけないのではないでしょうか」という問いかけが、この憲法試案には含まれています(*5)。

(*3)『幸福実現党宣言
(*4)『未来創造の経済学
(*5)《大川隆法政治講演集2010第6巻》『心の導火線に火をつけよ』(幸福実現党刊)

※文中や注の特に断りのない『 』は、いずれも大川隆法著、幸福の科学出版刊。