2024年は、野球ファンのみならず日本中が、ドジャース入りした大谷翔平選手(以下、敬称略)の活躍にくぎ付けになった。

大谷以前にも、多くの日本のプロ野球選手が海を渡った。中でも、並み居るメジャーリーガーを圧倒し、観客を沸かせたのは、やはり、日本人野手初のメジャーリーガーとなった「イチロー」だろう。

現在、シアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチローだが、2025年1月に発表される、日本のプロ野球とアメリカのメジャーリーグの両方で、「野球殿堂入り」の有力候補者として名前が挙がっている。

2024年12月号の本誌記事「大谷翔平とイチロー 日本発の『天才』の比較」では、「高い理想像」や「チームに全力貢献」など7つの視点から、2人の「天才」の共通点に迫った。

今回は、殿堂入りに期待が集まるイチローの、現役時代の驚くべきスランプの原因やバッティングの奥義などについて、大川隆法・幸福の科学総裁による「イチロー守護霊霊言」(2016年9月号本誌記事「イチローの過去世 新・過去世物語 人は生まれ変わる」で詳述)の抜粋などと共に紹介する。(全2回のうち、今回は前編)

3年連続200本安打、打率3割超えでも、「平均的な1番打者」と批判を浴びる

シアトル・マリナーズに入団したイチローは、1年目の2001年、新人王、首位打者(打率.350)、盗塁王(56盗塁)を獲得。

その後の2年間も、シーズン200安打と打率3割を保ち続ける活躍を見せ、デビュー後、3年連続200安打を達成した3人目の選手に数えられ、3年間の通算安打数662は史上2位という記録を残した。

しかしそんな中でも、スター選手の性(さが)で、常に高いレベルの結果を求められる。

打率は.350→.321→.312、盗塁数も56→31→34と下降気味。特に、2年目、3年目は、マリナーズがチームとして勢いを失った9月におけるイチローの打率は.248と.273と明らかに悪かった。スランプに陥り、チームを牽引できていなかったのだ。

2004年、4年目を迎えたイチローに対し、口さがない地元ラジオの司会者は、高い年俸をもらっていることについて、こう批判した。

「シアトルが恋したイチローはもういないのかもしれない」「マリナーズは守備のうまい平均的な1番打者ととんでもない契約を結んでしまった」(ボブ・シャーウィン著『ICHIRO 2 ジョージ・シスラーを越えて』)

だが、イチローの"スランプ"は、並みの選手のスランプとは別次元のものであった。