《ニュース》
トランプ氏が米大統領選に勝利したことで、早速、ウクライナ戦争をめぐって「変化」が起きています。トランプ氏の側近らがさまざまな和平案を検討していることが報道されてきた中、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこのほど、ロシアの占領地域は維持した上で、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を一時的に停止する案を報じました。
《詳細》
WSJによると、トランプ氏の政権移行チームは、(1)現在の前線に沿った非武装地帯を設け、欧州の軍が平和維持活動を行う、(2)ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を最低20年間認めない見返りとして、アメリカが引き続きウクライナを支援する、といった案を検討していると報じました。ただし、トランプ氏はまだ具体的な内容には関与しておらず、さまざまな側近が案出しており、今回はその一例と思われます。
9月には、ヴァンス次期副大統領が、現在の前線に非武装地帯を設置した上で(誰が管理するかは言及しなかった)、ウクライナはNATO加盟を断念し、中立化することを引き換えに、独立を維持する案を提示しており、上記のものとは微妙に違うものでした(バイデン政権でウクライナ政策を主導したヌーランド元国務次官は、ヴァンス案はロシアの和平案に似ていると批判)。
そのほかにも、"トランプ氏に近い"とされる元CIA長官のポンペオ氏が、以前に、WSJに和平案を寄稿。その一部を例証すると、(1)ウクライナをできるだけ早くNATOに加盟させ、他のヨーロッパ諸国がウクライナを保護するよう負担する、(2)NATOはウクライナ武装化のために基金をつくり、アメリカが一部負担する、というものであり、ロシアに厳しい内容でした。
この"ポンペオ案"については、ウクライナメディアは肯定的に報じています。というのも、ポンペオ氏は「ウクライナ勝利論」を主張し続けているほか、ウクライナの携帯電話会社の社外取締役を務めているなど、「ウクライナ寄り」と見られているからです。
ただし、今回のWSJの取材に応じた関係者は、「トランプ氏の側近の中で、ウクライナに関する同氏の計画について異なる見解や詳細な情報を持っていると主張する人は、誰であれ自分が何を話しているのか分かっていない」「トランプ氏が多くの場合で直感的に自ら判断を下すということを理解していない」と述べており、報道されているような和平案がそのまま採用される可能性が低いことも示唆しています。
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