2024年6月号記事
障害者の内面はなぜこれほどまでに豊かなのか
──抑圧下にある障害者の真実──
現代で弱者を見捨てる「排除の思想」の復活を防ぐには何が必要なのか。あるべき姿を探った。
「こいつはしゃべれるのか」
2016年7月に起きた相模原障害者殺傷事件(神奈川県)で、入所者45人を殺傷した植松聖死刑囚は「言葉がない」と看做した障害者に包丁を振り下ろした。
20年に行われた裁判で植松死刑囚は「意思疎通できない人間は安楽死させるべきだ」と一貫して主張。「生産性のない重度障害者への公的支援をなくせば、世界の経済が好転する」と強弁した。
昨年公開された映画「月」も、障害者は「社会のお荷物」というマイナス面を強調した。「映画は事実を曲げています」と語るのは、津久井やまゆり園の障害者たちと、指筆談を通して親交があった國學院大学の柴田保之教授(本誌60ページ・インタビュー)。指筆談とは、障害者の指を、介助者が手にとって自分の指に当て、かすかな動きで意志を読み取る方法だ。
障害者には言葉がある / 柴田保之教授インタビュー
・障害者たちが指筆談を通して語った内容とは
・知能指数では測れない内面の豊かさがある
・ダウン症の子たちは、見たものから情緒を感じ取る能力が高い