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温室効果ガス排出削減対策のされていない石炭火力の新規輸出について、このほど開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、政府支援を「年内で終了する」ことが合意され、波紋を呼んでいます。

《詳細》

「脱炭素」をめぐる議論では、温室効果ガス排出源の中で単独トップを占める石炭火力発電への風当たりが強くなっています。

そうした中、日本はG7で唯一、途上国への石炭火力の輸出支援をしている国です。特に日本が主な輸出先としている東南アジア諸国は、電力の4割以上を石炭火力に頼っています。今回の合意は事実上、わが国を念頭に置いたものとなります。

5月に開催されたG7気候・環境相会合において、「温室効果ガス排出削減対策のない石炭火力の新規輸出に対する政府支援の終了」は合意されましたが、今回、「年内」との期限が盛り込まれ、さらに踏み込んだ内容となった形です。

合意内容からは、「排出削減対策」のなされた設備は例外的に認められるようにも見えますが、想定されているのは「二酸化炭素の回収・利用・貯蔵(CCUS)」といった、ほとんど実用化されていない技術です。仮に実装されてもかなりの高コストになるため、途上国での導入は事実上、不可能でしょう。

なお、国内でも三菱UFJフィナンシャルグループや三井住友フィナンシャルグループなどは、高効率の石炭火力発電所も融資対象から外すことを検討しており、石炭火力輸出そのものの道が閉ざされかねない展開となっています。

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