《本記事のポイント》
- 米株価が大幅に下がっている原因は、大型減税
- 雇用率と賃金が上昇し、インフレ懸念が起きて、株が売られた
- 大切なのは、実体経済がよくなっていること
2月に入ってから、米ニューヨーク株式市場の株価が下落している。8日には、ダウ工業株30種平均が史上2番目の下げ幅を記録し、日経平均株価も下落。日米ともに、株価が年明けのピーク時から約10%下がっている。
背景にあるのが、昨年末に米議会で成立した「1.5兆ドル(約170兆円)の大型減税」だ。具体的には、法人税の引き下げ、海外留保所得への課税、個人所得税の引き下げ、標準控除の倍増、パススルー所得に対する所得控除などが行われる。
株価の下落が起きた背景にあるもの
一見すると、「税制改革によって、財政赤字が拡大し、米経済が悪化している」ようにも見えるが、そうとは言い切れない。
減税を進めるトランプ大統領の狙いは、大企業と大企業が持つ海外資産をアメリカ国内に戻し、中小企業にも減税して、雇用を増やすことにある。つまり「ジョブ・クリエーション(雇用の創出)」だ。
その狙いは見事に当たり、失業率は4.1%に減少し、240万人もの新たな雇用が生まれた。平均所得は2.9%上がり、350万人が賃上げやボーナスの恩恵を受けた。
株価が下落した背景にあるのは、2日に発表された雇用統計が予想を超える改善を示したことにある。
というのも、雇用が生まれ、賃金が上がると、実質金利が上がる。連邦準備制度理事会(FRB)は、今年3回の利上げを実施すると予想もされている。そのためインフレ懸念が広がり、雇用統計の発表を契機に、機関投資家が株を売り、株価が下がったというわけだ。
米ワンダーリッチ証券のアート・ホーガン氏は、次のように指摘している(10日付読売新聞)。
「米政府が国債発行を増やそうとしており、米国の長期金利は上昇しやすい。国債をたくさん売るには金利を高く設定する必要があるからだ。米国債に投資する魅力が高まると、株価は下落しやすくなる。(中略)歴史を振り返ってみれば、短期間に10%を超える株価の下落が発生している。現状は異常でなくノーマルだ」
SMBC日興証券の太田千尋氏も同紙の取材に対し、「急速に上がった株価の調整局面で、悲観的になる必要はない」と語った。
アメリカが繁栄するのは「これから」
株価が乱高下するのは一時的なことであり、むしろ注目すべきは実体経済の推移だ。
トランプ氏は、大型減税で雇用や設備投資を増やし、過去のどんな政権よりも多くの規制を撤廃し、経済発展を促している。諸外国との不公平な貿易協定も撤廃して、貿易赤字も減らそうとしている。
また州や市、国内外の民間企業などから資金を調達する「官民パートナーシップ方式(PPP:Public-Private Partnership)」によって、10年間で1.5兆ドル(約170兆円)規模の公共インフラ投資も行う予定だ。政府が大きな財政出動をせず、民間の力を活用することで、財政赤字を増やさない狙いがある。これは、政府の役割が少ない「小さな政府」の考え方でもある。
トランプ政権の打つ手に対する効果が現れてくるのは、少し先になるかもしれないが、「アメリカの繁栄」の実現を目にするかもしれない。
(山本泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『繁栄への決断』 大川隆法著
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