2016年10月号記事

石垣島ルポ

まもなく

沖縄は危機を迎える

沖縄県の尖閣諸島海域では、中国の漁船、公船、軍艦が頻繁に姿を現している。この先に何が待っているのか。石垣島を訪れ、この問題に向き合った。

(編集部 山下格史)

厳しい日差しが照りつける8月、頑丈に仕切られたフェンスをくぐると、きれいなアスファルトが敷かれた桟橋に、複数の巡視船が停泊していた。

沖縄県・石垣島にある石垣海上保安部には、2012年度以降、約500人が増員され、今春には巡視船が10隻増えた。合わせて689人、16隻の体制は、全国の保安部で最大規模だ。

これは、多くの中国船が押し寄せている尖閣諸島(同県石垣市)を守るための「専従体制」。

多忙な業務の合間を縫って、取材に応じてくれた同保安部の宮崎一巳部長は、こう語った。

「この海域では、現場のミスが外交問題につながりかねません。日々厳しい緊張状態の中で、隊員は精一杯、任務にあたっています。"国境警備隊"としての役割に誇りを持ち、この海域の安全を守り続けていきたい」

軍事訓練であることは明らか

8月上旬、尖閣諸島の接続水域内に、中国海警局に所属する15隻の公船と200~300隻に及ぶ漁船団が押し寄せた。

「海警局」は日本で言えば海上保安庁にあたるが、人民解放軍と緊密に連携しており、退役軍人などでつくる漁民に扮した「海上民兵」約30万人に対して、海上における行動の指示を出しているという。

九州・沖縄の防衛・警備にあたる陸上自衛隊西部方面隊の元総監・用田和仁氏は、こう警鐘を鳴らす。

「中国漁船は1隻に30人以上乗れる大きなものもあり、200~300隻であれば、軍隊で言えば1個師団に相当します。表向きは『漁』と言っても、『軍事訓練』であることは明らか。 海保を増強するのは大事ですが、海保は『海の警察』。犯罪を取り締まる警察権で対処できない事態を想定する必要があります」

次ページからのポイント

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