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アメリカのオバマ大統領が広島を訪問した。原爆を落とした事実そのものを謝罪していないなど、突っ込みどころはあるが、あらぬ方向から、あらぬ突っ込みが入った。

南京大虐殺を利用した、中国による日本叩きである――。

今回の訪問について、中国の王毅(ワン・イー)外相は27日、「広島は注目する価値はあるが、南京はより忘れるべきでない」と発言。原爆の被害者に配慮しつつも、戦時中に、日本が南京大虐殺を行った"加害者"であることを強調し、日米の歩み寄りに水を差した。

「南京大虐殺」とは、1937年12月、中国国民党政府の首都・南京を陥落させた日本軍が、その後1~2カ月の間に、南京城内にいた民間人や捕虜など、合わせて30万人を虐殺した、というもの。もちろん、これは、戦中・戦後に中国側がでっち上げた嘘である。

9月のG20で、各国首脳を南京大虐殺記念館に招待!?

しかし、昨年10月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に、中国が申請していた「南京大虐殺文書」が登録された。

今までもそうだったが、この登録をきっかけに、中国はさまざまなところで「南京」を利用した日本叩きをさらに加速させている。

9月に浙江省で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の際に、オバマ氏や安倍晋三首相など参加する首脳たちを、近くの江蘇省南京市にある「南京大虐殺記念館」に案内することを検討しているという(27日付産経新聞)。

今回の「南京を忘れるな」という王外相の発言も、この流れの中にある。

記憶遺産に登録された「南京文書」の全容を、実は、誰も知らない

しかし、このほど、幸福実現党の調査で、中国が現在も、「南京大虐殺文書」の全容を明らかにしておらず、ユネスコも日本政府もその全容を把握していないことが判明した。さらに、一部、日本政府が入手した「南京文書」も、虐殺を示すものではなかったことが分かった(30日発売の本誌2016年7月号に詳述)。

逆に、「南京大虐殺はなかった」ことは、日本の専門家の数多くの研究で証明されている。

例えば、明星大学戦後教育史研究センターの勝岡寛次氏は、近著『歴史の急所』(HS政経塾刊)で、1937年の中国国民党の年報に「南京大虐殺」の記述が存在しないことや、1960年まで中国の歴史教科書には「南京大虐殺」に関する記述がなかったことなどを指摘している。

広島で慰霊したら、次は、靖国神社での慰霊が必要

ちなみに、昨年10月のユネスコ記憶遺産の最終審議では、審査をする委員の中から、「日本政府自身が南京大虐殺を認めている」という声が上がり、この発言が「南京文書」の登録の決め手になったことが分かっている(本誌2016年2月号に詳述)。

つまり、「南京大虐殺」に関する論争は、資料や文書の分析という段階はすでに終わっており、必要なのは、首相や日本政府が「なかった」と宣言する、政治的な決断だ。

今回、安倍首相は、オバマ氏を広島に連れてきて原爆の犠牲者を慰霊した。

それならば、次にやることは、「南京大虐殺はなかった」という発表である。そして、それを踏まえた上で、国のために、アジアの植民地解放のために命を捨てていった、靖国神社に眠る英霊への慰霊が必要だ。(藤)

【関連書籍】

HS政経塾刊 『歴史の急所 反日プロパガンダ克服のために』 勝岡寛次著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1672

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2016年5月15日付本欄 ユネスコ記憶遺産地域委に日本が初参加 「南京登録」の過ちを繰り返さぬため

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