「国民党が勝てば中台統一が加速」 2020年台湾総統選を台湾の保守系シンクタンクが解説

「国民党が勝てば中台統一が加速」 2020年台湾総統選を台湾の保守系シンクタンクが解説

 

新台湾国策シンクタンク
調査部長

張人傑

プロフィール

(ちょう・じんけつ)1956年生まれ。台湾の東海大学社会学部博士課程修了,淡江大学欧州研究所博士課程修了、張榮發基金会・国家政策研究センター研究員。淡江大学公共行政学部専任講師退職。

台湾では2020年1月、総統選挙が行われる。この選挙の結果は、日本だけでなく、アジア全体の方向性を決めるものとなる。

 

台湾統一を狙う中国の習近平国家主席は今年1月の演説で、香港やマカオに適用している「一国二制度」の受け入れを台湾側に迫った。

 

これを断固拒否する姿勢の与党・民進党からは、現職の蔡英文総統と頼清徳・前行政院長(首相)が一騎打ちで公認候補を争う構図だ。

 

一方、台湾の親中派の野党、中国国民党からは、朱立倫・前党主席、王金平・前立法院長(国会議長)、韓国瑜・高雄市長らが出馬意欲を見せている。

 

来年の台湾総統選で、台湾の未来はどう変わるのか。台北市にある台湾独立志向の新台湾国策シンクタンクを訪れ、台湾政治に詳しい専門家による解説を聞いた。

(国際政治局 小林真由美)

 

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国民党が勝てば中国との統一が加速

台湾は今、これまで以上の危機に直面しています。中国国民党の呉敦義主席は今年2月、「国民党が総統選に勝利した場合、中国との平和協議に署名する可能性がある」と述べており、5月の新総統就任後、中国による台湾統一が一気に加速する恐れがあるのです。

 

これはまさに、中国が建国直後の1949年にチベットに侵攻し、併合した時と同じ状況になることを意味します。中国政府はウイグル人に対しても、最初はじわじわと同化政策を行いましたが、現在は数百万人ものウイグル人を強制収容所に入れて教育するという強硬手段に出ています。

 

中国共産党は、自由や民主主義の価値観を大事にする台湾人を洗脳し、中国人にしたいと考えているとみられます。今ある台湾の自由を守るためには、中国国民党への政権交代は何としても阻止する必要があります。

 

 

台湾メディアも中国共産党の影響下に

気になるのは、来年の総統選で民進党は勝利できるのだろうか、という点です。

 

昨年11月の統一地方選で、民進党は惨敗しました。この時、中国共産党と中国国民党がフェイク・ニュースを流したことも選挙戦に大きく影響したとみています。

 

今年3月の台南市の補欠選挙では、民進党は何とか議席を維持しましたが、中国国民党とその背後にいる中国共産党は今回もフェイク・ニュースを流して世論を変えようとしました。

 

現在、中国国民党と中国共産党は結託して、「民進党が勝ったら独立宣言をする。そうしたら台中関係は非常に緊張し、軍事的な危機が迫る恐れがある」というフェイク・ニュースを盛んに報じ、台湾の人を脅しています。

 

一方で、「中国国民党が勝ったら中国と平和協議を結ぶ(=台湾が中国に併合される)」というニュースはあまり広く知られていません。民進党は、この危険性をもっと訴えるべきです。

 

台湾の選挙でこの「フェイク・ニュース作戦」が成功したら、中国共産党は、今年の日本の選挙でも、来年のアメリカの大統領選挙でも同じ手を使うでしょう。来年の総統選挙でも、フェイク・ニュースに惑わされないことが大事です。

 

ところが、台湾のメディアの多くは中国共産党の影響を受けているため、中国共産党を批判するメディアは少なくなっています。むしろ、台湾では、「中国が短期間でいかに経済を発展させたか」を報じる番組が増えています。

 

 

台湾では「中台統一派」が増えている

台湾では現在、いわゆる機会主義者(オポチュニスト)が増えています。「中国に付いた方が有利そうなら中国に付く」という層です。日本人が考えている以上に、中国との統一を「悪くない」と考える中台統一派は多いのです。

 

台湾の文化は中国の影響を強く受けていますが、その点で宗教も大きな役割を果たしています。台湾には、観光地としても有名な龍山寺などに多くの台湾人が参拝していますが、そこで祀られている神様は皆、中国の神様です。その信仰の中身は、基本的に現世利益的なので、台湾人は一生懸命、「私はお金がほしいです」と神様に祈っている状態です(笑)。

 

 

台湾人の考え方が唯物論的になると、商売繁盛、経済発展が最優先になります。民進党も中国国民党も経済政策がダメとなると、「中国と統一した方が経済的に潤うのでは」と考える人が増えるのです。中国側も、台湾は武力侵攻しなくてもお金で買うことができると考えているとみられます。

 

 

台湾の唯一の友人は日本

現在、アメリカと台湾の関係は強化されていますが、それはお互いの利益のためであり、「友情」はないです。共通の敵である中国に対抗するために、台湾はカードとして使われていると指摘する専門家も多いです。

 

でも日本は違います。「台湾が中国の一部になれば、日本も危ない」という運命共同体という言葉以上の友情でつながっていると信じています。台湾の唯一の友人は日本だけです。

 

中国国民党も中国共産党も、来年の選挙で中台統一を実現したいと考えており、もし国民党が勝ち、民進党が敗れれば、中国の太平洋進出や世界大国化が一気に進みます。来年の総統選は、台湾の未来、日本の未来、そしてアジア全体の未来を分ける非常に重要な選挙になると言えるのです。(談)

 

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タグ: 台湾  民進党  国民党  一国二制度  中国  フェイク・ニュース  

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