国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
いま、東アジアの地政学的るつぼにおいて、かつてないほど巧妙かつ危険な変異が進行している。習近平政権率いる中国が推し進める覇権主義的な対外戦略は、もはや遠い海の向こうの出来事ではない。
「経済的侵略」という名の静かなる包囲網は、隣国である北朝鮮をも巧みに、そして不可逆的に飲み込もうとしている。表面上の同盟関係や友好の美辞麗句の裏側で、中国は自らの崩壊を防ぐための焦燥感から、北朝鮮を文字通り「経済的・地政学的に包囲し、従属させる」という、冷徹な大いなる賭けに出ているのである。
中国が現在直面している深刻な国内危機を見れば、この強硬な動きの背景が痛いほどよく分かる。
長年の不動産バブルの崩壊に端を発した経済の構造不況は、中国国内の地方政府の膨大な債務と相まって、国家体制の根幹を揺るがし始めている。失業率は高止まりし、かつての爆発的な成長神話は完全に瓦解した。
習近平指導部にとって最大の恐怖は、経済の失速がそのまま国民の不満へと繋がり、共産党独裁体制の正統性を揺るがすことである。この出口の見えない内政の閉塞感を打破するため、彼らが選んだ手段が、周辺国への強烈な経済的圧力と勢力圏の囲い込み、すなわち「経済的侵略」の本格化なのだ。
中国の覇権構図を左右する北朝鮮の動向
この文脈において、北朝鮮の存在は中国にとって究極のジレンマであり、同時に絶対に手放せない戦略的要衝である。






















