《ニュース》
東京大学は9月28日、次期総長(学長)に藤垣裕子教授を選びました。東大初の女性総長となるものの、意向投票で2位だった同氏が選出されたことが、"女子枠"なのではないかと物議を醸しています。
《詳細》
東大の総長選考では、教職員による意向投票の後、総長選考・監察会議が最終決定します。
28日に行われた第一回投票では、染谷隆夫教授が818票で1位、藤垣氏は400票で2位でした。過半数を得た候補がいなかったために行われた第二回投票では、染谷氏が1107票で1位となり、2位の藤垣氏の得票はその半分の553票でした。
しかし、総長選考・監察会議はこの結果を覆し、藤垣氏を選出。意向投票で1位だった候補者が総長に選ばれなかったのは東大では初めてです。
投票結果よりも"政治性"が優先されたのではないかという見方としては、学術的な成果とされている被引用論文回数の多さや、科学研究費助成事業(科研費)の採択の差が指摘されています。
研究内容では、1位だった染谷氏は「肌に貼って数字を表示する極薄ディスプレイ」や「衣服に付けられる薄くて水に強い太陽電池」といった、工学分野で先駆的な開発・研究を行ってきました。これに対し藤垣氏は科学技術社会論が専門ですが、その業績がどのように社会の役に立ってきたのかは分かりづらいという声が上がっています。
東大側は、面接や資料などを「総合的に勘案」して藤垣氏を選出したとしていますが、具体的な選考理由は十分に説明しておりません。
また、総長を選出した監察会議の議長である国谷裕子氏は、元NHKのキャスターで、東京藝術大学ダイバーシティ推進室長を務めていました。決定権を持つ役職が男性ばかりで構成されていることなどをかねてより問題視しており、ジェンダーバランスの改善を訴えてきました。
29日に行われた会見で藤垣氏も、「来年150周年を迎えるが、ようやく初めて女性総長を生み出したというのは、社会にとってもかなりメッセージ性がある。研究者を目指す女性が増えることを期待している」と述べました。
こうしたことも相まって、「"女子枠"総長ではないか」という批判の声が相次いでいます。
実際、「女性を上位職へ登用すれば、文部科学省から補助金がもらえる」といったインセンティブ制度もあり、主に理系の入試において一定数の女子を採る「女子枠」をはじめ、多くの国立大学では学長や教授の女性比率を上げるために数値目標を設定して"多様性"を拡大しようとする動きが加速しています(関連記事:「日本の大学入試で「女子枠」導入が急増する中、ユネスコ報告書でさえ『むしろ逆差別』と苦言」)。
《どう見るか》























