イギリスで安楽死を認める法律制定の機運が高まり、世論調査でも賛成が75% 医学だけでは考慮されない「死後の魂の苦しみ」という観点
2024.04.23
《ニュース》
イギリスでは、回復の見込みのない終末期の患者に、安楽死を認める法律制定への機運が高まっています。このほど行われた世論調査では、末期患者の自殺ほう助である「死のほう助」を合法化することに賛成する人が7割を超えています。
《詳細》
イギリスではマン島、ジャージー、スコットランドで、終末期の患者に「死のほう助」を認める法案の導入の検討が行われています。スコットランド議会では3月、リアム・マッカーサー氏が法案を提出。患者が進行性の末期疾患を患っていること、医師2人が自ら死を選択できる精神状態にあると診断していること、強制の懸念がないことを条件とするものです。
英国議会でも、労働党党首のキア・スターマー氏が、今年後半に想定されている総選挙で労働党が勝利した場合は、「死のほう助」を合法化するかどうかについて国会議員に自由投票の機会を与えると発言。スナク首相も、議会が法律改正を決定した場合には、保守党政権として変更手続きを進めていくと言及しています。
世論調査でも、「死のほう助」を支持する国民の増加がみられます。調査機関オピニウムの調査では、法案導入に賛成したのは英国全体で75%となりました。選挙区ごとの調査では、すべての選挙区で賛成が過半数となり、8割を超えた選挙区も目立っています。
また、YouGovの調査でも、末期患者の「死のほう助」を認めてよいと回答したのは70%となりました。また、末期ではないが不治の病を抱える患者の「死のほう助」についても、44%が認めてよいと回答しています。
一方、この法案が制定されれば、末期患者に家族の負担になるのを止めるよう、安楽死を選ぶことへの圧力が高まる、という反対意見もあります。元パラリンピック陸上金メダル選手のタニー・グレイ・トンプソン氏は、「死ぬ権利」が「死ぬ義務」になると懸念を表明しています。
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