南シナ海、台湾、ミャンマーでバイデン政権の本気度が試され始めた
2021.04.29
2021年6月号記事
南シナ海、台湾、ミャンマーで
バイデン政権の本気度が試され始めた
第七艦隊の元情報大佐に、バイデン政権のアジア政策の見通しについて聞いた。
(聞き手 長華子、片岡眞有子)
James E. Fanell
──バイデン政権の対中政策は、気候変動など、組めるところは組むというスタンスです。これをどう見ていますか。
バイデン政権には残念なことに、中国共産党に対して宥和政策をとってきた面々が並んでいます。オバマ政権時、中国との交渉の窓口に立っていたのはバイデン氏自身です。またインド太平洋調整官として登用されたカート・キャンベル氏は、オバマ政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補でしたが、2012年に中国がスカボロー礁(上図)を実効支配するのを許しました。これは1975年のベトナム陥落以来の最悪の外交政策でした。
また中国に関与し対話を重ねれば、アジアに平和と安定が訪れるということを信じている高官もいます。私はこのワシントンを支配する不文律を"キッシンジャー学派の関与政策"と呼んでいます。この政策を継続するのは、あたかも腕の悪い歯科医にかかるようなものです。
しかしトランプ氏は「関与政策を続けて一体何を得たのか」と白紙の目で問い、アメリカと同盟国は失っているものの方が多いと気づいたのです。トランプ氏は自由という価値観と相容れない政権とは交渉する余地がないと判断。自由主義圏と異質な中共イデオロギーがいかに危険かについて、アメリカの人々を目覚めさせました。そして「自由な世界」を実現するために対中政策を転換したのです。トランプ氏は歴史の中にその功績を刻むでしょう。
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