幸福実現党が給料を上げる ─アメリカの先を行く3つの先進性 - 編集長コラム

2019.06.30

2019年8月号記事

編集長コラム Monthly  Column

幸福実現党が給料を上げる

──アメリカの先を行く3つの先進性

1.「追われる国」の経済政策を提案

『「追われる国」の経済学』

『「追われる国」の経済学』

リチャード・クー著

東洋経済新報社

エコノミストのリチャード・クー氏の近著『「追われる国」の経済学』が興味深い議論を展開している。同書の中で「バブル崩壊後の国、もしくは新興国に経済的に追撃される先進国に関する経済学は、今まで存在しなかった」と指摘した。

日本を例に取れば、1960年代前後の高度成長期には、インフレ退治の金融政策と緊縮的な財政政策で十分だった。しかし90年ごろからのバブル崩壊後は、企業が抱えた膨大な借金の返済を優先し、お金を借りて投資することに極めて慎重になった。加えて韓国、台湾など新興国が競争相手として台頭し、国内に工場を建てるより、中国に進出する企業が続出した。国内では、ますます企業がお金を使わず、貯めるだけになる。それが今では約450兆円の企業内部留保となって積み上がった。

クー氏はそうしたバブル崩壊後の国や「追われる国」では、「企業の代わりに政府がお金を借りて積極的に財政支出しなければ、GDPが縮小していくデフレ・スパイラルに陥る」という趣旨の主張をしてきた。つまり、国民の給料が年々減っていくというわけだ。

短中期的には、政府が国債を発行し、一定の収益率を見込めるインフラ投資を行う。長期的には減税と規制緩和によって、今までにない革新的な技術や新しいビジネスを生み出す という二段構えの政策を提言している。

2009年に提案した3つの柱

実は これに近い政策を幸福実現党は2009年の立党時から提案してきた。 「大胆な金融緩和」「未来産業や交通革命への積極的な財政支出」「大規模な減税と規制緩和」の3つの柱を掲げた(*)。

まさに短中期的に企業の代わりに政府が「未来投資」を行い、長期的に技術革新や新ビジネスを生み出すことをねらったものだ。

2012年末に発足した第2次安倍政権は、これらの政策をアベノミクスの「3本の矢」としてそっくり取り入れた。しかし2014年の消費税増税で積極財政から緊縮財政へ、そして減税から増税路線に180度転換。さらには規制緩和への熱意も失い、3本のうち金融緩和だけが残存することとなった。

(*)幸福実現党は、日銀が金融引き締めに傾きがちであるため、一定の範囲内で国債を引き受けるなどして、金融緩和することは必要という考え方をとっている。

トランプ政権も実行し成果

一方、2017年にスタートした アメリカのトランプ政権は、実はクー氏の言う「追われる国の経済政策」を実行している。

トランプ氏は、金融引き締めに動くFRB(米連邦準備制度理事会)に圧力をかけ、金融緩和に転じさせた。米民主党を巻き込み、10年で220兆円のインフラ投資を実現しようとしている。減税は10年で170兆円規模を実行に移し、規制も1500以上を撤廃したという。その結果、年3%以上の成長を維持し、2年で500万人以上の新たな雇用を生み出した。

日本もそうだが、EU各国も「追われる国の経済政策」を取り入れていない。EUの条約で財政赤字をGDPの3%以内に抑えると決めているので、緊縮財政しか選択がない。そのため、どの国も長期低迷に陥っている。

幸福実現党は、新興国から追い上げを受ける日本経済を再び浮上させる経済政策を10年前から訴え続けている。 この政策によって、減り続けている日本人の給料を再び引き上げていくことができる。

リチャード・クー氏の指摘した「追われる国」の経済学

成長期の経済政策

  • 金融政策に効果
  • 緊縮財政(国債の発行を抑える)

バブル崩壊後、もしくは「追われる国」の経済政策

  • 金融政策の効果は限定的(*)
  • 積極財政(国債を発行し、インフラや新技術に投資)
  • 減税・規制緩和(新しいビジネス、産業を生み出す)
(*)幸福実現党は、日銀が金融引き締めに傾きがちであるため、一定の範囲内で国債を引き受けるなどして、金融緩和することは必要という考え方をとっている。


共和党保守派が参加するCPAC(保守政治活動会議)で演説するトランプ氏。写真:AFP/アフロ。

2.日本にない米共和党のポジション

幸福実現党は、日本の中では位置づけが難しい。 日本には今までなかったポジショニングだからだ。しかし、 アメリカには近似する政党は存在する。二大政党の一つである共和党と、トランプ氏そのもののスタンスに近い(*)。

トランプ氏は、共和党を支持するキリスト教福音派の考え方に親和性がある。彼らはアメリカの建国の理念に基づき、信教の自由や財産権を守ることを重視し、政策としては減税や規制緩和を求める。

チャンスの平等や自助努力を大切にする中小・零細の自営業者が多く、アメリカの良質の保守と言っていい。トランプ氏は、一見そうは見えないかもしれないが、信仰心が篤く、ほとんどの政策に宗教的な価値判断が込められている。

「自由は創造主からもたらされる。私たちの政権は、その自由をこの世の権力から国民に返そうとしている」

トランプ氏が減税と規制緩和について説明する際、「創造主」が登場するほどだ。

トランプ氏の外交・安全保障政策も宗教的な価値判断が入っている。トランプ政権は、中国共産党政権による人権・宗教弾圧を真っ向から批判する初めてのアメリカの政権となった。

「中国のキリスト教徒、仏教徒、イスラム教徒に迫害の波が押し寄せている」

そう非難したのは、政治家である以前に福音派のキリスト教徒であることを重視するペンス副大統領だ。トランプ政権が進める対中国の貿易戦争や技術獲得戦争も、唯物論国家の強大化を止めるねらいを含んでいる。

(*)大川隆法著『旧民主党政権の「陰の総理」仙谷由人氏の霊言』まえがき参照。

自民党は米民主党に似ている

日本には宗教的な価値判断を重んじる政党は存在しなかったが、幸福実現党が共和党に近いポジションとして登場した。地上の魂修行を充実したものとするため、自助努力に力点を置く経済政策を掲げ、中国の覇権主義の阻止を目指している。

アメリカの二大政党のもう一つの民主党は、弱者救済色が強く、社会主義的な政策をとることが多い。例えば前政権の医療保険制度改革「オバマケア」は、多額の補助金が投入され、政府に依存する人を増やす性質を持つ。90年代のクリントン、先のオバマ両民主党政権は中国や北朝鮮に融和的な姿勢をとり、中国の膨張と北の核開発を約30年にわたり許す結果となった。

日本の自民党は、この米民主党によく似ている。 バラまき政策は教育無償化で加速しており、中国に甘いスタンスは安倍政権でもしっかり踏襲されている。公明党、立憲民主党、共産党に至ってはもっと「左」に寄っていき、中国共産党や北朝鮮の主張に同調することが多くなる。

世界で「トランプ化」の波

日本ではあまり報道されないが、さまざまな国で「トランプ化」が起きている。

ブラジルのボルソナロ大統領は「ブラジルを再び偉大にする」というトランプ氏同様のキャッチフレーズで当選。民営化や年金改革を進めるとともに、「中国は略奪者」と非難して対中関係を見直している。スペインでは保守政党ボックスが、カトリックの国としてスペインの伝統文化や家族の価値観を守ることを訴え、4月の総選挙で躍進した。

宗教的な価値判断を政治に取り入れる国が次々と出てきており、その波は世界を覆おうとしている。


千葉・幕張で5月に行われた幸福実現党立党10周年大会。

3.人類すべてが幸福になる政治

幸福実現党は、単に共和党的なポジションというだけでなく、その先を行く位置づけでもある。 その宗教的な価値判断がキリスト教福音派を超えているためだ。

幸福実現党の母体である幸福の科学は、キリスト教やイスラム教などの世界宗教をつくった至高神(天なる父、アッラー、エル・カンターレ)を信仰し、その下で神仏や大天使・天使、如来・菩薩の導きを受ける多神教的な霊界観を特徴とする。

その多様な教えから政治、経済、国際政治に関する価値判断が出てくる。

経済政策においては、先に触れたように「追われる国」として革新的技術や新ビジネスを生み出していかないといけない。クー氏は同書でそのために「独創的な発想ができる奇人・変人が求められる」と力説する。

そうした人材は宗教的に見れば、 神仏の導きを受け、天上界のビジョンや智慧、アイデアを地上に降ろす「創造的頭脳」 の持ち主ということになる(*)。まったく新しい未来産業を生み出すには、そうした霊的世界のエネルギーを引いてくることが不可欠だ。

(*)大川隆法著『資本主義の未来』参照。

「神のマネジメント」を反映

もちろん、トランプ政権の価値判断がすべて正しいわけではない。外交政策では、例えばイランを「悪魔の国」のように捉え、強硬な姿勢をとりすぎている。一神教同士のキリスト教とイスラム教が互いを鏡のように映し、憎み合っている面がある。

霊的な真実を言えば、二つの宗教が共に信じる至高神は世界各地の民族神や天使、菩薩たちを使いながら、世界平和を実現されようとしている。幸福の科学の大川隆法総裁は著書『正義の法』でこう述べている。

「神は、『できたら、「最大多数」ではなく、「全員の幸福」を実現したい』と思っています。(中略)常に、さまざまなリーダーを地上に送り込んで、実現しようとしているのです。そうした、いわゆる『神のマネジメント』が、地球レベルで行われているのだということを知ってください」

「神のマネジメント」を反映した新しい世界秩序づくり を、幸福実現党は目指している。

常に神仏の導きを受ける

すなわち、幸福実現党は、神仏の導きを常に受ける政治家、企業家、発明家・技術者を輩出しようとしている。

政治哲学者アーレントは人間の営みについて、政治活動を含む「活動的生活」と、宗教的な「観照的(瞑想的)生活」を区別し、後者を人間にとって最も価値のあるものと位置づけた。観照的生活は天上界と交流し、智慧を降ろすことに本質がある。

過去の政治家では、「自分の行動が神の御心にかなったものなのか」の答えを祈りの中で求め続けたリンカン米大統領が、神の導きを常に受けていた人だろう。

南北戦争のさなか、聖職者が「主は私たちの味方となっておられることでしょう」と述べたところ、リンカンはこう語ったという。

「私は、私とわが国が主の側に立っていればよいのだがと絶えず心配し、そう祈り続けているのです」

幸福実現党は日本の政党として、アメリカの共和党以上の仕事を成し遂げることを志している。

それは、 神仏が祝福する政治であり、日本人だけでなく、人類すべてが幸福になる政治 である。はるかなる無限遠点を目指した戦いに終わりはない。

(綾織次郎)

写真:R R / Shutterstock.com

幸福実現党は人類的幸福を目指す

政治全般

アーレント的な「観照的生活」の実践

神仏の導きを受ける政治家となる

外交・安全保障

「神のマネジメント」を反映する

各宗教、各民族、各国が共存できる世界秩序をつくる

経済政策

「創造的頭脳」を育てる

「追われる国」として新しい産業をつくり出す


タグ: 幸福実現党  国債  2019年8月号記事  トランプ  規制緩和  綾織次郎  CPAC  共和党  編集長コラム  資本主義  インフラ  経済政策 

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