2015年版の『四季報・業界地図』(東洋経済新報社刊)では、「注目業界」のひとつとして「宗教」が取り上げられた。
参考までに述べれば、「宗教」は、航空機産業や芸能プロダクションに次ぐ扱いになっており、決して小さな扱いではない。四季報に突然に現われた「宗教」のページを見て驚いたビジネスマンも少なからずいるのではないだろうか。
同書では、「信者数首位級」の団体として「幸福の科学」(1200万人)、「創価学会」(827万世帯)が大枠で取り扱われている。さらに、90年代半ば以降に成長が著しい団体として「幸福の科学」と「真如苑」を取り上げ、幸福の科学は「寄付と出版事業が収入源」、真如苑は「宗教ビジネスでイノベーションを提起した」と説明している。
従来、宗教を社会の裏側に追いやってきた日本においても、宗教が正面から取り上げられるようになりつつあることは興味深い。宗教団体は、ひとつの「経営体」として発展を目指しており、その動向は他の業界にも大きな影響を及ぼす。
しかし、「仏神の声を伝える」という最も尊い使命を持つ宗教を、単なる「ビジネス」と見なすことには、問題があると言わざるを得ない。
同書には、宗教団体の「もうけの仕組み」として、「宗教団体は性格上、さまざまな非課税特権に守られており、本来カネが貯まりやすい。大きな新宗教団体はこの特権を上手く活用して、莫大な財力を獲得している」との説明がなされている。これは、宗教に対する誤解・偏見を助長するものだ。
正しい宗教は、人々の魂を救うという最も尊い仕事をなしている。神仏やあの世の存在を知らしめて「人生はこの世限りではない」という真実を伝えることは、人々に心の安らぎを与え、退廃的な生き方から守る。時には採算を度外視して行わなければならないこともある。ゆえに、宗教活動には高い公益性が認められる。また、こうした尊い仕事を支えたいという信者からの「お布施」は対価性がないものである。
こうした非課税措置の背景にある考え方が理解できないために、「宗教はビジネスであり、非課税特権を“利用"している」といった誤解が生じている。
「信教の自由」を守るためにも、宗教に対しての正しい理解を広めていかねばならない。(遠)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『宗教学者から観た「幸福の科学」 「聖なるもの」の価値の復権』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1268
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