《ニュース》
原子力規制委員会(以下、規制委)は4月30日、北海道電力泊(とまり)原発3号機について、再稼働に向けた安全対策が規制委の新規制基準に適合することを認める審査書案を了承し、事実上の「合格」としました。泊3号機の審査は過去最長の11年9カ月に及びました。
《詳細》
2011年3月の東日本大震災以降、泊1~3号機は稼働を停止してきました。再稼働を目指す北電は、新基準が施行された2013年7月、規制委に泊1~3号機の審査を申請。泊3号機は2009年12月に営業運転を始めたばかりの日本で最も新しい原発であり、出力が91.2万キロワットと大きかったため、優先的に審査が進められてきました。
しかし、泊原発の敷地内には11の断層があり、一部は活断層である可能性が指摘されていました。新基準では、後期更新世以降(約12万~13万年以降)に動いたことが否定できない断層を活断層とみなしています。
そこで北電は、断層の上に20万年前に降り積もった火山灰の層があり、その層にずれがないことから活断層ではないと主張していました。しかし現地調査で火山灰の層が見つからなかったことなどから、規制委は19年2月、活断層の可能性が否定できないと判断し、追加調査が行われることになりました。
北電は外部の地質研究者を招くなどして敷地内の別の場所を採掘し、断層の上にあるのが12~13万年前より古い地層でずれがないことを説明。最終的に11年9カ月かけて3号機の「審査合格」に至りました。北電は、泊3号機は2027年、1・2号機は2030年代前半の再稼働を目指しているといいます。
現在の北電は、販売電力量の5割超を火力発電に頼っている関係で、電気料金は日本で最も高い水準となっており、3号機の再稼働によって電気料金が下がることが期待されています。また、次世代半導体製造の「ラピダス」の工場や、「ソフトバンク」の国内最大級のデータセンターが稼働予定であることから、北海道内の電力需要は2030年度には現在より1割増えると見られており、電力供給の増強が必要となっています。
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