《ニュース》
文部科学省はこのほど、小中学生を対象に毎年行われる「全国学力テスト」について、「都道府県や政令市ごとの結果を公表する」という現在の方式の見直しに向け、検討を始めることになりました。
《詳細》
「全国学力・学習状況調査(学力テスト)」は毎年4月、全国の小学6年生と中学3年生を対象に行われており、都道府県や政令市ごとの平均正答率を公表しています(2017年以降、小数点以下を四捨五入した整数で公表)。
この都道府県別の公表をめぐり、今年8月に行われた全国知事会の会合で、複数の知事から「都道府県別の公表に意味があるのか」といった声が相次ぎました。知事会が9月に行った調査では、半数以上の知事が現行の公表方法を支持する一方、3割は全国の成績のみの公表を求めるなど、見直しの必要性を訴える声も上がりました。
具体的な見直しの理由について、「意味があるのか分からない問題を解かせられながら、平均正答率で並べ比べられる」(滋賀県・三日月大造知事)、「生成AI(人工知能)が普及する中で、教科書を覚えて答えるようなテストをし、その平均点を眺めることを毎年やるのか」(和歌山県・岸本周平知事)、「本当に毎年やる必要があるのか。都道府県の順位を出すことに果たしてどれだけ意味があるのか」(宮崎県・河野俊嗣知事)などが挙げられています。
一方、「学力テストを行うことで国際的な日本の学力水準が高くなったという事実もある」(福井県・杉本達治知事)といった反論の声も上がっています。
こうした状況を踏まえ、今月23日に開かれた文科省の専門家会議で、結果の公表方法を検討するグループを立ち上げ、見直しに向けた具体的な検討を始めることになりました。早ければ、来年度のテストから結果の公表方法を見直すことも視野に入れ、進めるとのことです。
見直しを求める声の中には一定の正当性はあるかもしれません。ただ、少なくとも上記の滋賀県や宮崎県などで、平均正答率が全国平均を下回っている点は差し引いて考える必要があります。
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