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日本製鉄が中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄との合弁事業を解消するとこのほど発表し、日本企業による「脱中国」が加速するかが注目されています。

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日鉄は、1972年の日中国交正常化後の経済協力の目玉として、宝山鋼鉄に技術協力するなど、中国の鉄鋼業の発展に尽力してきました。作家・山崎豊子の小説『大地の子』は、この建設事業がモデルにもなっています。

日鉄と宝山の関係は、「トウ小平氏は78年に来日した際、新日鉄(当時)を『先生』と評するだけでなく、自国をあえて『生徒』と表現した」ほどで(25日付日本経済新聞)、長らく密月関係でした。

しかし、2004年に両社が合弁事業を立ち上げた関係性は、競争の激化によって次第に微妙なものとなり(21年には日鉄が宝山を特許侵害で提訴)、中国の鉄鋼メーカーが世界市場を席捲。そして鉄鋼業全体が米中の貿易戦争の前線にもなる今、日鉄は半世紀に及ぶ中国との歴史にピリオドを打ち、「脱中国」を決断した形です。

日鉄は今回、合弁解消の記者会見をすることなく、ホームページ上に「中国における自動車鋼板合弁事業の解消について」と題した短いリリースを発するのにとどまりました。日中友好のシンボルと評されてきた過去と引き合わせると、日鉄と宝山の関係はそれほど冷め切っていたことを示していると指摘されています。

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