2024年9月号記事

地域シリーズ 大阪

維新人気の正体は「ご利益信仰」か?

「身を切る改革」を打ち出すことで支持を集めてきた「大阪維新の会」、そして「日本維新の会」。
しかし、結局は「ご利益信仰」で人気を集めているだけではないのか。

「維新」の目玉政策として進められる大阪・関西万博の開催が来年に迫る中、暗雲が立ち込めている。

万博会場の建設費は当初予定の1250億円から約2倍の2350億円に跳ね上がり、運営費の柱である入場券は2割程度しか売れていない(7月10日時点)。大阪府民からは、「驚くほど盛り上がっていない。一生懸命PRしているが、関係者だけで盛り上がっているようだ」(寝屋川市・50代男性)との声も聞かれる。

万博誘致は、大阪市長だった橋下徹氏と府知事だった松井一郎氏が「東京がオリンピックなら、大阪は万博を」と立案。府議会で維新議員に万博について質問させて空気づくりを行うなど、事実上のトップダウンで進められた(*1)。

松井氏は「東京と並ぶ『大大阪』を造りたい」という思いだったと語っており(*1)、根底にあるのは「東京への対抗意識」のようだ。

メタンガスの爆発事故が起き、地盤沈下、災害時の液状化現象の懸念もあり、万博会場の夢洲整備の府・市の負担は今後も増えるとみられている。

(*1)塩田潮著『解剖 日本維新の会』(平凡社)

「儲かればいい」 賭博への抵抗薄れ

夢洲ではカジノを含む統合型リゾート(IR)の計画が進められており、2030年に開業予定だ。

維新は万博を「成長の起爆剤」とし、IR(カジノ)を「持続的な観光の柱」に位置付ける。人口が減る中、シンガポールやマカオなどをモデルに富裕層を誘致し、観光消費を大きくするという。府・市には毎年1000億円ほど納付金などが入り、子育てや教育・福祉に充てるつもりだ。

近畿圏の大学にはポーカーサークルが次々と設立されている(*2)。カジノは「ゲーミング」という名称でスポーツ感覚で広がっており、「賭け事」への抵抗感が薄れつつある。

しかし、大川隆法・幸福の科学総裁はこう指摘する。

個人でやったら犯罪になるわけですが、(中略)『それを公営でやったり、国営でやったりしたら構わない。税金が入るから構わない』というようなことを言っているのです。(中略)これは、もう少し注意しなければいけないなというようなことを思います」(*3)

全国でギャンブル依存症疑いのある人は約320万人と言われている。メジャーリーグの大谷翔平選手の通訳の事例でも分かるように、努力や創意工夫をせずに儲けようとする射幸心をあおられ、借金を重ねた末に家庭や人生が崩壊したり、犯罪に手を染めたりする人も後を絶たない。

大川総裁は「"賭博地獄"というのもけっこうある」とし、IRの誘致で「『新しい地獄が生まれるだろうな』というようにも思いました」と説いている(*3)。大阪に「新たな地獄」を増やしてよいのだろうか。

(*2)2023年12月18日付読売新聞電子版
(*3)『謙虚さの底力』(幸福の科学刊)

※文中や注の特に断りのない『 』は、いずれも大川隆法著、幸福の科学出版刊。

 
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