2024年7月号記事

新連載

釈量子の宗教立国への道

第1回

釈量子

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

危機の時代に必要な国家理念

2012年から始まった「志士奮迅」は135回もの長きにわたり続けることができました。ひとえに読者の皆様のお支えによるものです。心より感謝申し上げます。

今回より装い新たに「宗教立国への道」という連載名にて再スタートいたします。立党15周年の節目、その原点に立ち返り、宗教政党としての使命を果たしていこう──この「決定」の念いを込めた所存です。どうか引き続き、ご愛読を賜れれば幸いです。

大川総裁 憲法試案の叡智

世界大戦に大恐慌の危機、そして天変地異──。もはやいつ何が起きるのか、予想できない時代です。この切迫感のなか、政治の在り方を根本から問い直す必要性を実感しています。たとえそれが「常識からずれている」と言われても、妥協せずに本心を訴えていきたいと思っております。

そこで今、改めてご紹介させていただきたいのが「新・日本国憲法 試案」です。大川隆法・党総裁が、2009年の立党直後に書き下ろされた前文プラス十六条の憲法試案で、「この国を根本的に改造し、未来型国家に変身させることも可能だと信ずる」という願いを込めたものです。

憲法は一般に、国家権力を制限する道具と考えられることもあります。同試案はそれを超え、国の基盤となる考え方である「国家の理念」を明らかにしています。

我が党は、「九条改正」など、現行憲法を改正することで国家運営を正していくという提言もしています。しかし、これだけ国家や政治が漂流するなかで、本来必要なのは「国家の未来をどのような精神的主柱でデザインするか」を打ち出すことだと考えます。

以前、あるシンポジウムにお呼びしたチベット人の若い研究者が、終了後の会食で「チベットに憲法をつくりたい」と遠い目をして語っておられたことが忘れられません。宗教や言葉、国土を中国に破壊されつくしたチベットが、解放された未来に国家再建を果たす第一歩は、その理念を打ち立てることだと考えていたのでしょう。それはある意味、日本の"国家再建"にも求められることです。

自由・人権の根拠

大川総裁の憲法試案で最も重要なのは、前文で「神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。」と、政治の前提に置く人間観を提示していることです。人間は創造主に創られたものである──この考えが、「私たちの自由・人権は神に与えられた不可侵のものである」という確信の根拠となります。こうした考えはアメリカ独立宣言にも謳われるなど、世界的にはスタンダードです。日本の現行憲法で語られる「人権」は、神仏の存在に根差していないため、根拠が薄弱なのです。

緊急事態条項の危険性

それは現実の政治にも影を落としています。現在、衆議院の憲法審査会では「緊急事態条項」の検討が進められています。戦争やテロ、大災害などに対処すべく、政府権限の強化を可能にする規定です。コロナのような感染症拡大なども想定されています。

もちろん国防上の危機など、そうした対応が必要な局面もあるでしょう。しかし今の日本で政府権限を強化することは、多くの危険をはらんでいます。コロナ禍では、連発される「緊急事態宣言」で国民の移動・営業の自由が著しく制限されました。国民の側も、営業しているお店を攻撃し、ネットで晒す「自粛警察」が問題視されました。

多くの人がナチスを思い出すような社会状況に、あっという間に転じていく恐怖を目の当たりにしました。"緊急事態"の名のもと、いとも簡単に自由が奪われていった当時を振り返るにつけ、誰にも侵しがたい自由・人権の宗教的根拠を示すことの必要性を改めて痛感します。

そしてこの思想は、中国といった国民の自由を躊躇なく奪う唯物論国家による、覇権主義や人権侵害に、立ち向かう根拠にもなっていくのです。

本欄ではこうした自由の哲学を中心に、まずは「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介していきます。党精神に流れる神の愛を感じる一助となれば幸いです。引き続き、よろしくお願い申し上げます。


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