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米議会が超党派で設置した戦略態勢委員会は12日に、「アメリカは核保有国であるロシアと中国との同時戦争に備える必要がある」という報告書を発表し、アメリカの核戦力などの全面的な見直しを求めました。

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安全保障担当者などから100回以上のブリーフィングを経てまとめられた報告書からは、アメリカが迫り来る脅威への備えを怠っていることへの危機感が強く露わになっています。

同報告書は、中国が現在のペースで核戦力を拡大し続ければ、2030年代半ばまでに配備された戦略核の核弾頭数でアメリカと同等になり、ロシアは世界最大の核戦力であり続けるだろうと指摘し、予見される脅威環境に対処する包括的な米戦略が欠けていると警告しました。アジア太平洋地域では、アメリカと同盟国の通常戦力の優位性が低下しているとし、「核兵器のアジアへの配備」を検討する必要があるとしました。

オバマ米政権に続いて、「核なき世界」を標榜するバイデン政権は、昨年発表した核戦略の指針となる「核体制の見直し」で、トランプ前政権が進め、米軍首脳から歓迎されていた「新型の核巡航ミサイル」の開発を打ち切り、中国やロシアへの抑止力は確保できると判断しました。しかし今回の報告書は、バイデン政権の方針に反ばくしており、取り組みが不十分であると指摘しています。

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