2021年7月号記事

見せ方は上手だが…

バイデンで果たして大丈夫か?

バイデン大統領率いるアメリカは、今後どのような道を歩むのか。
内政・外交の両面からバイデン政権を全方位で点検する。

(編集部 長華子、山本泉、片岡眞有子)

内政・経済編

富裕層を見せしめにして

トランプの成果を帳消し!


バイデン政権の約6兆ドル規模の"成長戦略"

● コロナ対策に1.9兆ドル
● インフラ投資のために2.65兆ドル
● 米国家族計画に1.8兆ドル

(5月18日時点)

● 連邦法人税率を21%から28%に

15年で2.5兆ドルの税収増を見込む


● 所得税の最高税率を37%から39.6%に
● 高所得者(*)に対し、キャピタルゲイン課税を23.8%から43.4%に

(*)100万ドル(1億900万円)以上の所得者

10年で1.5兆ドルの税収増を見込む


トランプ前政権の成長戦略

● 連邦法人税率を35%から21%に引き下げ
● 所得税の最高税率を39.6%から37%に引き下げ
● 設備投資の費用の即時償却を認め、投資を促進

10年で1.6兆ドルの税収増を見込んだ


富める者が富めば貧しい層にも自然に恩恵がこぼれ落ちるという「トリクルダウンはなかった」。そう断言し、トランプ前政権の減税路線と「小さい政府」路線を否定したバイデン政権。国家丸抱えで国民の生活の面倒を見る代わりに、重税を課して国民の自由を制限する「大きな政府」へ方向転換を始めた。

バイデン氏は就任後の100日間で、合計6兆ドルを超える規模の政府支出案を策定。インフラ投資のうち橋や道路などのインフラに使われるのはたったの5%。大半は気候変動関連や教職員組合の加入などに充てられ、民主党の票田固めに見えなくもない。しかも、その財源は増税で賄われる予定だ。

だが果たして、前政権の経済政策を「失敗」だと葬り去ることができるのか。バイデン政権の方針転換について、トランプ前政権の経済顧問だったラッファー博士に話を聞いた。

 

次ページからのポイント(有料記事)

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