2021年5月号記事

台湾・尖閣が危ない!

今年、中国共産党創立100周年を迎える中国は、
「コロナ戦争」に乗じて、アメリカから覇権を奪う動きを本格化させるだろう。
その魔の手は、すぐ近くにまで迫っている。

(編集部 山本慧、竹内光風/海外取材 長華子、片岡眞有子)

「中国の公船が尖閣諸島の領海に侵入しました。今年に入って〇回目です」

「中国の戦闘機が台湾の防空識別圏に侵入しました。中国と台湾の緊張関係が高まっています」

テレビの報道番組が数分で伝える中国の脅威。もはや日本の"日常の一コマ"となり、「また来たな」という反応以上のことを示さない人が増えているだろう。

中国は、同じ行為を繰り返すことで敵の油断を誘う「瞞天過海」という兵法を駆使している。日本国民は中国の策にハマり、領土問題に強い関心を持たなくなりつつあるのが現状だ。


尖閣侵略はタイミングの問題

そうした中、中国は2月に、「第2海軍」として、海警局の武器使用を認める「海警法」を施行し、いざとなれば中国軍と一緒になって無制限の武器使用ができる態勢を整えた。

これに自民党の国防部会は反発。尖閣防衛に向けた法整備を求める声が上がった。しかし、元自衛隊幹部は呆れたようにこう話す。

「今それを議論しても、法律ができるのは数年後です。しかしその頃にはもう手遅れです。根本問題は、自衛隊が憲法の縛りで、必要最小限の警察権限しか持たされていないことです」

すでに中国海警が沖縄の漁船を追い払うなど、日中のどちらが尖閣を実効支配しているのか分からない状況にある。

中国の漁船団が尖閣に上陸する事態になれば、総理大臣が防衛出動を下令し、自衛隊を南西諸島(鹿児島県大隅諸島~沖縄県与那国島)に展開させ、上陸を阻止する構えをとる。

しかし急襲された場合、展開には相当な時間がかかる上に、政府与党の親中派が中国を刺激するといった慎重論を唱えるなどして、足を引っ張るだろう。その間に尖閣が占領され、南シナ海のように軍事基地化されれば、日本政府は尖閣奪還をあきらめることが考えられる。

 

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