2020年2月号記事

共産中国、EU、国連「解体」の10年に

2020-2030 世界を読む

世界の枠組みが地殻変動を起こす中、日本は成長戦略を立てなければ、先進国ではいられなくなる。激動の時代を乗り越える方法とは。

(編集部 山本慧、長華子、片岡眞有子、塩澤沙智)


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日本経済が衰退していることを実感したのは、2019年の夏に、米ニューヨークから帰国した友人と都内で食事をした時だ。

久しぶりに日本食を食べたいと言う友人と一緒に、900円のランチに行く。魚を一匹使い、ご飯も大盛りに変えられる人気の定食。友人はうれしそうにほおばり、最後に会計を済ませるとこう口にした。

「日本のランチって安いね! このボリュームなら、ニューヨークでは3000円するよ!」

一瞬、戸惑った。

900円のランチは決して安くない。聞くとアメリカでは、景気が好調であるため、モノの値段も給料も上がっているという。対する日本はバブル崩壊以降、いまだにモノや給料が下がるデフレから脱却できず、各家庭の財布の紐は堅くなる一方だ。

平成生まれの筆者(山本)は、一度も好景気を実感したことがなく、「バブル時代は羽振りが良かった」と語る父親の言葉に共感できない。青春時代は、よくハンバーガーを59円で販売していたマクドナルドに友人と入り浸った。思い出はデフレで彩られている。

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図1

2030年には中国のGDPがアメリカを抜く!?

1988年 国連が地球温暖化の対策組織を創設

1991年 バブル崩壊で、日本は失われた30年に突入

1993年 欧州連合(EU)が発足

2010年 中国のGDPが日本を抜く

次ページからのポイント(有料記事)

日本は中国に抜かれ、途上国化

日本は世界で唯一「貧困化」していた

GDP2位を奪還する戦略を