《本記事のポイント》
- 「労働力調査」によると、非正規雇用の割合は増加している
- 非正規を選んだ理由のトップは男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」
- 「同一労働同一賃金」よりも一人ひとりが力を発揮できる本当の「働き方改革」を
総務省はこのほど、4~6月の「労働力調査」を発表した。同調査によると、雇用形態における正規職員は約3484万人と、前年同期に比べて62万人増加。パートや派遣社員などの「非正規雇用」は約2095万人と、前年同期に比べて77万人増加した。役員を除く雇用者に占める非正規職員の割合は37.6%と、上昇傾向にある。
増加する非正規雇用だが、何かとネガティブなイメージがつきまとう。テレビや新聞などでも、「賃金が低く、上昇する見込みはない」「"雇い止め"を言い渡されるのではないかと、毎年の契約更新に怯えている」など、当事者の悲痛な声ばかりが取り上げられている。
非正規の理由は「自分の都合のよい時間に働きたいから」が男女ともにトップ
しかし、「労働力調査」によれば、非正規という雇用形態についた主な理由の中で、「正規の職員・従業員の仕事がないから」は男女合計で259万人(13%)と、前年同期に比べて26万人減少している。対して、理由のトップは男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」で、男性が170万人(27.6%)と、前年同期に比べて17万人増加、女性が422万人(31%)と、前年同期に比べて57万人増加している。男女合計では592万人(29.9%)と、前年同期と比べて69万人の増加だ。
そもそも、自由度が高いことが非正規雇用のメリットだ。一日の時間のほとんどを仕事に費やし、責任も重い正社員では働けない・働きたくないが、仕事はしたいという人にとって、非正規雇用はありがたい働き方だ。勉強や家事・育児、介護などに時間を使いたい、仕事を掛け持ちしたい、持病により長時間働けない、などという人は、時間の融通が利きやすい雇用形態を求めている。
さらに非正規なら、仕事の内容も定められていることがほとんど。配置転換や異動、転勤もなく、自分に合ったものや技能を生かした仕事を選べる。調査の結果は、そのメリットを享受している人が多いことを証明しているといえる。
企業側も、例えばスーパーマーケットなどの小売業や接客業など、毎日長時間働く正社員だけよりも、短時間や週に数日のみ働ける人材を多く採用したほうが、都合がよい場合もある。
これらのメリットはあまり取り上げられず、雇い止めの可能性や昇給などがなく収入が不安定なこと、離職率が高いことなど、デメリットばかりが先行して報道されがちだ。
規制緩和や減税などで企業の自由度を増すことが本当の「働き方改革」
現在、正社員と非正規の差を「格差」として、是正しようという動きが政治のレベルで活発化している。安倍晋三首相が肝煎りで実現を進める「働き方改革」では、「非正規社員の待遇の改善」が重要課題とされており、"雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保"するために、「同一労働同一賃金」が、働き方改革の目玉として位置づけられている。
非正規社員を正社員に登用する「キャリアアップ」も、政府が推し進めており、大手企業を中心に広がりつつある。
しかし、非正規から正社員になった結果、「労働時間が増え、給与は下がった」「仕事や責任が増した分に見合った給与とはとても言えない」などの理由から退職してしまう、などの問題も発生しているのが現状だ。
政府が企業や個人の「働き方」に対して口を出すと、いい結果が生まれないことが多いのは、上記の例からも明らかだ。「働き方」への政府の介入に対して、大川隆法・幸福の科学総裁は書籍『仕事ができるとはどういうことなのか』で、以下のように語っている。
「 もちろん、政府がやってくれていることがピタッと当たり、そのとおりにうまく好循環が巡っていけば、それに越したことはないですし、それを否定する気もありません。そうなってほしいとは思うのですが、やはり、『経済の主体は、あくまでも個人にある』というところに戻るべきでしょう。『経済の主体である個人がどう力量を発揮するか』が大事だということです 」
「 どちらかといえば、国民全体が、給料が上がるような働き方を工夫し、志すことで、給料は上がっていくのではないかと思いますし、こちらのほうが、『正しい筋』なのでないかと考えています 」
厚生労働省によると、「働き方改革」は、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」を目指しているという。
本当に多様な働き方を選択できる社会を実現するなら、格差=悪という決めつけからの「同一労働同一賃金」などで企業に介入せず、むしろ規制緩和や減税などにより、企業の自由度を増すことで、一人ひとりが持つ力を発揮できる、柔軟な働き方を支援するような社会にすべきではないか。
(駒井春香)
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