《本記事のポイント》
- 憲法記念日に各政党が声明や街宣で主張を訴えた
- 幸福実現党の釈党首は街宣で、憲法9条改正を求めた
- アジア情勢が混迷する中、真正面から憲法改正について議論すべき
日本国憲法が施行されて71年が経つ。憲法記念日の3日には、各政党が憲法について声明を発表したり、街頭演説をしたりして、それぞれの主張を訴えた。
国会でも、自民党を始めとする「改憲勢力」と、共産党や希望の党などの「護憲勢力」がぶつかり合っている。安倍晋三首相も現状の9条に「自衛隊」を明記するのみで戦力不保持などはそのままという「安易な改憲」しか主張せず、憲法の根本的な問題を解決できる状況にない。
「9条信仰」の問題点
そんな中、2009年の立党時から一貫して、9条改正を含む国防強化を訴えてきた幸福実現党が3日、東京・渋谷のスクランブル交差点で街宣を行った。
幸福実現党の党首・釈量子氏は、同党を「改憲勢力」だとし、このように語った。
「今国会で行われている憲法の議論には、そもそもの議論が抜けていないでしょうか。なぜ憲法を変えなければいけないのか。そもそも誰がつくったのか。こうした根本的な議論が失われていると思います。今の私たちの憲法は、メイド・イン・USA。アメリカがつくった憲法です。アメリカが戦後日本の牙を抜こうと思ってつくった憲法のままです(中略)戦後70年経った今、自分の国の憲法を自分たちでつくらなければなりません」
「日本には憲法9条をご本尊とする"信仰団体"のようなものが沢山あります。しかし、憲法9条があっても、北朝鮮のミサイルは日本の上空を飛んでいきました。憲法9条があっても、日本の周辺海域は脅かされています。(中略)日本は、今こそ目を覚まさなければいけないと考えています」
南北首脳会談で、北朝鮮と韓国が融和したと見る向きもある。しかし、北朝鮮は2005年に6カ国協議で「非核化」に合意しながら、翌年には初の核実験に成功させた国。今回の「非核化」も時間稼ぎと見るのが妥当だ。
北朝鮮の背後には覇権拡大を続ける中国の存在もある。
中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や一帯一路(新シルクロード)政策で周辺諸国への影響力を増すとともに、自国民への監視体制も強めている。
ウイグル族やチベット族を始めとする少数民族や、キリスト教などの信仰を持つ国民を弾圧。彼らを監視下に置き、強制収容所で拷問・処刑するなど、激しい人権弾圧を続けている。
アジア情勢が混迷する中、釈党首は「こうしたものに目をつぶりながら、日本の中で人権を叫んだり、憲法9条を守れと叫んだりすることに対して、大きな欺瞞を感じる」と訴えた。
「自衛隊を明記しても本質は何も変わらない」
自民党が発表している改憲案は、「戦力不保持」を規定する9条2項を残したまま、別条文として「9条の2」を新設し、「自衛隊」の存在を明記するというもの。あくまで戦力と認めないまま、自衛隊を憲法に明記するということだ。
これに対して、幸福実現党は自衛隊を「国防軍」と位置づける形での9条の改正が必要だとしている。軍隊として明記することで、日本が「自分の国は自分で守れる国」になることができると考えるためだ。
釈党首は街宣で「(現行の9条のまま)自衛隊を明記しても、本質は何も変わらない」と述べ、同じ「改憲勢力」として、安倍首相に踏み込んだ改憲案を求めた。
憲法改正を求める声が上がる中、国会では連日、「加計学園」疑惑や「森友学園」の文書改ざん問題、事務次官のセクハラ疑惑や自衛隊の日報問題が追及されている。国家の安全保障に直結する問題よりもスキャンダルが大きく扱われることに対して、国民は危機感を抱かねばならない。
憲法施行から71年。今こそ、国民も政治家も、真正面から憲法を語る必要がある。
(片岡眞有子)
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