川村恵司/PIXTA(ピクスタ)
2018年6月号記事
地域シリーズ 北海道
中国に「爆買い」される北の大地
未来型農業が"侵略"を止める
土地の買収という経済活動を通じて、北海道への"侵略"が静かに進んでいる。
それを食い止めるための法整備と未来型農業の可能性を探った。
(編集部 小川佳世子、山本泉、片岡眞有子)
contents
Part1
現地レポート
しのび寄る中国の影
中国資本が北海道の土地を次々と買い占め、北海道各地で問題となっている。
1 釧路港周辺に中国の影
一帯一路構想の一部に組み込まれつつある釧路港。
太平洋沿岸に位置する釧路市には、中国要人が度々訪れている。
「なぜ中国の要人が来るのか、地元の人も疑問に思っています」
釧路市の60代女性はこう語る。
「隣の白糠町では幼稚園から高校まで中国語が選択教科に加えられており、中国の歴史も詳しく教えています」
白糠町は2001年に福建省廈門市杏林区と経済友好交流促進の覚書を締結し、中国と文化交流を図っている。
さらに前出の女性は、「釧路に太陽光パネルが不自然なほどに増えています」と不安を口にした。
中国による土地買収に詳しい産経新聞編集委員の宮本雅史氏(後述)は、著書『爆買いされる日本の領土』で「道内の太陽光発電所のうち、中国との関わりが疑われる発電所は50カ所ある」と指摘する。太陽光パネルを設置すれば広大な土地を確保できる。
なぜ中国は釧路に触手を伸ばすのか。日中友好協会の地方組織「釧路日中友好協会」の2016年12月の例会で、張小平・中国大使館一等書記官が「一帯一路」構想に触れ(関連42ページ)、「釧路は国際港湾物流拠点としての成長が期待できる」と述べている。
同港は鉄鉱石や穀物などの輸入拠点で、国土交通省が「国際バルク(ばら積み貨物)戦略港湾」に指定した。北極海航路を開く上で中国が押さえたい場所だ。
2 狙われる帯広の地
帯広市拓成町には、札内川の支流・戸蔦別川が流れる。
十勝平野の中心に位置する帯広には水質調査で日本一に輝いた札内川が流れる。帯広市に住む60代女性から、水源地に当たる山間部で怪しい動きがあるとの声が寄せられた。
「故郷の帯広市拓成町の森林が中国資本に買われたようです。過疎化が進んでいるので、中国人が土地を買い占めていても分かりません」
拓成町は帯広市中心部から車で1時間ほどの山間地。車で人気のない山道を進むと、森林が伐採されたエリアに出た。道路の脇には、赤字で「立ち入り禁止」と書かれた看板が立ち並ぶ。更地になった土地やバンガローのような建物も見える。同行した女性は顔を曇らせた。
北海道は「一帯一路」に取り込まれつつある
中国の不当な土地買収の阻止を / 宮本雅史氏 / 釈量子 幸福実現党党首
外国の土地所有規制がないのは日本だけ