(画像は Wikipedia より)

在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が日本とアメリカを「敵」と位置づけ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長をたたえる学習資料を作成していることが明らかになった。

朝鮮総連関係者によれば、この学習資料は傘下団体向けに作成されたもので、正恩氏の異母兄弟である金正男(キム・ジョンナム)氏が北朝鮮当局に殺害され、動揺が組織内で広がったことに対し、正恩氏の崇拝推進と組織の引き締めを図ることを目的としているという。(15日付産経新聞)

学習資料には「アメリカと日本が軍事的圧迫と制裁を強めたことに対し、核実験とミサイル発射を行い、敵対勢力に打撃を与え、気勢を削いだ」と記載されている。資料は日本国内の組織向けに作成されたものであるにもかかわらず、アメリカと日本を「敵対勢力」と名指ししている。朝鮮総連は公安調査庁の監視対象にもなっているが、各地の朝鮮学校が人材を供給し続けている。

朝鮮学校で教え込まれる金父子への崇拝

朝鮮学校は、日本の幼稚園から大学に相当する教育を行う、在日朝鮮人を対象とした学校だが、韓国籍の在日韓国人や日本国籍の生徒もいる。教室には北朝鮮の最高指導者であった金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)父子の写真が飾られ、崇拝されている。

朝鮮学校に通う生徒の中には、卒業後、朝鮮総連や北朝鮮内の職に就く人もいる。2016年4月11日付産経新聞によれば、一部の卒業生は、朝鮮総連の傘下団体「在日朝鮮人科学技術協会(科協)」に属し、北朝鮮の兵器開発を支援していることが明らかになっている。

朝鮮学校では、北朝鮮に対するマイナスの情報を知らされることはない。そのため、初等教育から入学すれば、北朝鮮内で反乱分子や政治思想犯とみなされた人物が粛清されている事実を知る機会はないと言ってよい。

アジアン・リポーターズによれば、朝鮮学校が使用する教科書には、在日朝鮮人を対象とした「帰国事業」で、同胞たちと楽しそうに交流する金日成氏の写真が掲載されている。ところが実際には、この帰国事業で日本から北朝鮮に渡った多くの在日朝鮮人は、強制収容所に入れられたり、強制労働で餓死したり、虐殺されたりしている。

北朝鮮人民の思想転換が必要

そうは言っても、日本で生活しているため、学校以外で北朝鮮に関する情報に触れ、間違いに気付く生徒もいる。教育内容がおかしいと分かっていながら、しがらみによって仕方なく子供を通わせている親もいる。生徒数が減少し、運営が難しくなりつつある朝鮮学校がほとんどだ。

しかし中には、家庭内でも朝鮮学校の教育内容が正しいと教え込まれ、それ以外の情報が信じられなくなる人もいる。千葉市では4月、朝鮮学校への補助金を凍結することを決めたが、依然として補助金を出している自治体も多い。しかし、北朝鮮が行った暴挙を隠して教えず、その結果、朝鮮総連の人材の供給源になっているなら、補助金を凍結させるべきだろう。

大川隆法総裁は、北朝鮮のあるべき体制について、次のように述べている。

国を護るということが必ず正義だというのであれば、北朝鮮が国を護るために核武装することだって正義に見える。しかし、言論の自由や、人々が幸福を求める権利というのはちゃんとあるのかどうか。人間が動物みたいに扱われてないかを見て、望むべき未来はどういうものかということを考えなければいけない

(法話「人生を深く生きる」より)

北朝鮮に住む人々が信仰の自由や言論の自由を手にするために、各国は軍事圧力や経済制裁を加えつつ、正しい情報により目覚めを促さなくてはならない。日本国内においても感情的になりすぎることなく、何が正義であり、何が在日朝鮮人にとっての幸福なのかを考えていく必要がある。

(HS政経塾 山本慈)

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2017年5月11日付本欄 そもそも、日本にはなぜ「在日韓国人」がいるの?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12979