《本記事のポイント》

  • 入国制限でトランプ氏が批判にさらされている。
  • 入国を禁じているのは一時的であり、アメリカ人を守るため。
  • 世論調査では、トランプ氏を支持する人々の方が多い。

トランプ米大統領がテロ対策として、イスラム教徒が多数を占める7カ国の人々の入国を禁止する大統領令に署名したことを受け、アメリカ内外で批判が噴出している。

アメリカでは、各地で大規模な抗議運動が行われ、司法の一部では大統領令を阻止する動きが起きている。チャック・シューマー上院議員などが「自由の女神が泣いている。移民を歓迎する伝統が踏みにじられた」と強い言葉で大統領を批判した。米主流マスコミは揃って、トランプ氏が「移民の国」アメリカを分断するとんでもないことをしたかのような報道を続けている。

海外でも、難民受け入れに対して寛容なドイツのメルケル首相が、以下のようにトランプ氏を厳しく批判した。「テロとの戦いは必要不可欠なのは疑いようがない。しかし、イスラム教のような特定の信仰や出身国を理由に、全員に疑いをかけることは正当化できない」。

また、カナダのジャスティン・トルドー首相は、ツイッターで次のようにつぶやいた。「迫害やテロ、そして戦争から逃れようとしている人たちへ。カナダ人は信仰に関係なく、あなたたちを歓迎する。多様性こそわれわれの強さだ」。

こうした各国首脳の発言を見ると、トランプ氏が公約通り「イスラム教徒の入国禁止」を大統領令で出したかのように見える。しかし、事実はそうではない。

入国禁止は一時的な措置

今回の大統領令でアメリカへの入国が禁止されたのは、テロ支援国家指定を受けたり、政情が不安定だったりするイラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンの7カ国だ。これらの国はイスラム教徒が多数を占めている。

ただ、トランプ氏は29日に発表した声明で、「最も安全が確保できる政策が実施され次第、査証の発効は再開される」とし、入国禁止はあくまでも暫定的な措置であることを示している。また、「イスラム教徒が多数を占める他の40カ国以上は大統領令の影響を受けていない」とし、イスラム教徒を狙った措置ではないということを強調した。

つまり、トランプ氏が今回出した大統領令は、「イスラム教徒の入国禁止」を訴えた選挙公約よりも、格段に寛容なものになっているということだ。

突然の大統領令の執行が「混乱を生んだ」という批判に対しては、入国を拒否されたアメリカへの渡航者は、「32万5000人のうち、たった109人だ」とツイッターに書き込み、大方の人は入国できていることを強調。「仮に入国禁止が1週間前に発表されていたら、悪いやつらはその間に、この国になだれ込んでいただろう」ともつぶやいている。見方を変えれば、テロを目論む人々に対し、最も効果的な予防策を講じたとも評価できる。

世論調査ではトランプ氏に「賛成」の方が多い

マスコミが強調する批判とは裏腹に、ロイター通信の世論調査では、今回の「入国禁止」の大統領令について賛成が49%と、反対の41%を上回った。また、大統領令によって「アメリカがより安全になる」と答えたのは31%で、「安全でなくなる」と答えた26%を上回った。

「アメリカ国民を守る」というトランプ氏の実行力が評価されている事実を忘れてはならない。

トランプ氏が国内外から批判を受けながらも、テロの可能性を可能な限り下げるための政策を進めようとしていることは、彼の愛国心と、一度やると決めたことを断行する信念の持ち主であることを示しているのではないか。

(小林真由美)

【関連記事】

2017年1月30日付本欄 トランプ大統領が連発する大統領令って? 強いリーダーシップのためのシステム

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12537

2017年1月31日付本欄 これだけ知っトクNews(1月31日版) トランプ大統領、司法長官代行を解任 入国制限は何のため?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12539

2017年1月22日付本欄 【社説読み比べ】トランプ米大統領「アメリカ・ファースト」への戸惑い広がる

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12483