2017年2月号記事
HSU論壇
未来への貢献 第16回
沖縄・基地報道に見る「黙殺権」の危険性
ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)
ビジティング・プロフェッサー
里村 英一
(さとむら・えいいち)1960年生まれ。新潟県出身。在京のテレビ局宣伝部を経て、91年、幸福の科学に奉職。本誌編集長、幸福の科学グループ広報局長などを経て、現在、幸福の科学専務理事(広報・マーケティング企画担当)兼HSUビジティング・プロフェッサー。ネット番組「The Fact」メインキャスターも務める。共編著に『スピリチュアル・エキスパートによる徹底検証「イスラム国」日本人人質事件の真相に迫る』(幸福の科学出版)などがある。
マスコミが世論を誘導する怖さはつとに指摘されてきたが、事件や問題を「黙殺する」という手段についてはほとんど研究されていない。
メディア問題に精通する里村英一氏が、沖縄の基地報道を例に、この手段の危険性を論じる。
マスコミの「黙殺権」について、最近の事例を題材に考えてみたい。「黙殺権」とは「マスコミが報道しないことによって、事実そのものをなかったことにすること」と定義される(注1)。
メディアからすれば「放送時間や紙幅に限りがある以上、編集は止むを得ない」という言い分はあろう。だが、その編集法や取り上げ方が、政治的あるいは思想的に偏った立場からなされるならば、国民の判断は狂い、国家の安全にも関わる重大な危険を招くことになる。その典型例が、2016年10月に沖縄で起きた「土人」騒動だ。
この騒動は、沖縄県東村高江での米軍訓練場整理・縮小のためのヘリパッド(ヘリコプターの離着陸帯)建設工事に関して、反基地派と機動隊の間で軋轢が激化したもの。大阪から派遣されていた機動隊員が反対派を「土人」と呼んだことが「差別発言」だとして、沖縄県の地元紙はもとより全国紙やテレビが大々的に報道。国会でも議論されるに至り、政府が対応に苦慮する大問題となった。