ワンコインタクシーの勝利だ。

国の規定より安い運賃で営業する、格安タクシー会社「ワンコインドーム」(大阪市)が、国に運賃の値上げを強制しないよう求めた訴訟で、大阪地裁はこのほど、同社の請求を認める判決を言い渡した。

西田隆裕裁判長は「(政府は)タクシー会社の経営実態を全く考慮せずに公定幅運賃を決めている。裁量権の乱用だ」と述べた。

公定幅運賃とは、全国155の地域で、国が定めた料金を指す。「過当競争になれば、運転手の収入が減り労働条件が悪化し、サービスの質が落ちる」などとして、昨年4月から導入された。

この制度により、大阪府内のタクシー会社は中型車で初乗り660~680円での営業を義務付けられたが、ワンコインドームは初乗り500円で営業し続けた。

同様の訴訟は他に、大阪、福岡、青森の3地裁で5件起こっており、仮処分の決定はすでに出ているが、判決は今回が初めてだ。

挨拶しなければ運賃は頂かないMKタクシー

国は"親切心"から運賃規制を行っているかもしれないが、これは本当に必要なのか。

訴訟を起こしたタクシー会社の一つ、MKタクシーグループ(本社:京都市)は、お客様から高い支持を受けている会社だ。

低運賃はもちろん、お客様の心を離さないサービスの特徴の一つには「当たり前の継続」がある。

1976年から続けている「MK運賃運動」では、「ありがとうございます」「MKの○○です」「どちらまでですか? ○○までですね」「ありがとうございました。お忘れ物はございませんか?」という4つの挨拶を実行しない場合は、運賃を頂かないという徹底ぶり。

身体障害者や着物を着たお客様に対しても、運賃割引を実施するなど、MKタクシーのサービスは常に「お客様第一の精神」で貫かれている。

「タクシーのサービスはどこも一緒」という国の固定観念

国による一律の運賃規制は、こうしたお客様に選ばれるための努力を否定してしまう。

MKタクシーは昨年5月、運賃変更命令の仮差し止めが決定した際に、ホームページで「『タクシーはどれもサービスの変わらない、選択できないもの』というタクシーにとっての固定観念は、 創意工夫によって利用者に喜ばれるタクシーを生み出すという事業者の経営努力を否定します」と指摘している。

タクシーの運賃規制のみならず、政府が民間に「口出し」をする背景に、民間の経営努力への「侮り」があることが多い。

こうした規制は営業の自由を侵害し、民間の活力を奪ってしまう。国は規制を撤廃し、民間が自由に経済活動を行う流れの中にこそ、国も国民も豊かになることにそろそろ気づくべきだ。(冨野勝寛)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『幸福実現党テーマ別政策集 4 「未来産業投資/規制緩和」』 大川裕太著

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