「特定秘密保護法案」成立へ 集団的自衛権の議論はどうした?
2013.11.08
大川隆法総裁・法話レポート
安倍首相は、重要なテーマを正面から攻め、
国民を説得すべき
幸福の科学のオピニオンの根底には、
宗教に裏打ちされた「政治哲学」がある
「政治哲学の原点」
2013年10月29日収録
「特定秘密保護法案」が10月、閣議決定され、今秋の臨時国会で審議されている。
これに対して東京新聞は、「国民の『知る権利』が侵されるのではないか」として、この法案に反対する記事を連日のように掲載している。
大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、10月29日に収録された法話「政治哲学の原点」において、この特定秘密保護法案に言及し、 「それより優先するものがあるのではないか」 と問題提起した。
※大川隆法総裁の法話「政治哲学の原点」の映像は、全国・全世界の幸福の科学の支部・精舎で拝聴できます。なお、この内容を収めた書籍は1月下旬に全国の書店で発売中です。
特定秘密保護法とは何か?
「特定秘密保護法案」とは、防衛、外交、テロリズム等、国家の安全保障にかかわる「特定秘密」を定め、公務員がその秘密を漏洩した場合、最高で10年の懲役刑を科すことを定めたもの。
漏洩した本人のみならず、情報を得るために、欺き、暴行・脅迫、窃取、施設侵入、不正アクセスといった不正な手段を行った民間人や情報を得た者も同じく処罰の対象となる。
そのため、マスコミは「取材活動も秘密保護法の対象となりかねず、記者が萎縮し、『報道の自由』や、『国民の知る権利』を侵害する」と反発している。
こうした批判を受け、法案には、国民の「知る権利」や、報道・取材の自由に配慮する文言が明記され、「取材行為が法令に違反しない限りは正当な業務行為として処罰の対象にしない」ことも盛り込まれた。
それでも、一部マスコミは批判の手を緩めることなく、10月29日付の東京新聞朝刊では、「特定秘密保護法は、憲法の『基本的人権』『国民主権』『平和主義』と衝突し、侵害する」として、憲法や刑事法の研究者らが法案への反対声明を発表したことを1面で報じた。
これについて大川総裁は、
「(安倍首相は)枝葉末節、あるいは搦め手というか、“勝手口"から入ってくる感じがあり、どうも正面から攻めてこない」
「マスコミが、『知る権利に違反しているのではないか』『言論の自由をなし崩しにするんじゃないか』と一部危惧するのも分からなくもないところがある」
と、安倍首相の“兵法"に疑問を呈し、法案に警鐘を鳴らすマスコミにも一定の理解を示した。
「枝葉末節」部分から議論を進める安倍内閣
国家機密を守るということは、国家と国民の安全を守ることであり、他国にも同様の法律はある。その意味で、「特定秘密保護法」自体は必要なものといえる。
しかし、「何のために」という目的の部分について、安倍首相は国民に対して十分に説明しているとはいえない。
そもそも、この「特定秘密保護法案」は、外交・安全保障政策の司令塔となる情報機関、「国家安全保障会議(日本版NSC)」を設置する上で、外国との情報共有を進めるための環境整備を目的として提出された。
日本は機密情報を扱うことについての緊張感がなく、アメリカからの信頼が薄い。
例えば、2007年には海上自衛官がイージス艦情報を漏洩させたとして逮捕された。中国人の妻を持つ自衛官の自宅から、アメリカの最重要機密ともいうべき、イージス艦のシステムに関わるデータが発見されたため、機密情報に関する日本の信頼はほとんど地に堕ちた。
2011年には、羽田空港に勤務する航空管制官(国家公務員)が、アメリカの大統領専用機や無人偵察機の飛行計画を「知人に見せたかった」として、ネット上に流出させた。
一つ間違えば国家が安全保障上の危機に陥り、日米同盟を破棄されてもおかしくない軽率な行為も、現行の自衛隊法では5年以下の懲役、国家公務員法では1年以下の懲役と、窃盗罪より軽い。
日米が連携して国防を強化するには、漏洩した者への罰則を強化し、安全保障にかかわる国家機密情報を保護することは不可欠だ。
ただ、本来ならば、日米の結びつきをより強めるために集団的自衛権の行使容認を進め、「国防は100%アメリカ頼み」という現状を改めるのが先だろう。
ところが、そういう根本の部分の議論を避けて「秘密保護」だけを審議にかけると、要らぬ誤解を招き、「暗い時代」を思わせるのだ。
大川総裁は、国家指導者としてのあるべき姿を以下のように示した。
「もう一段、正々堂々の論理で議論を通せる力は、これから必要になるのではないか。《中略》国体を変えようとしているなら、それを最初にもってくるべきで、それに付随して国家秘密として守らなければいけないものがあることを、例示して、説得する技術が要るのではないかと思います」
もともと安倍首相は、憲法9条を改正し、集団的自衛権の行使を容認し、日米と連携して国防を強化したいという信念を持っていたはずである。
しかし、憲法9条については予想以上に反対が強かったため、憲法改正の発議要件を緩和する、憲法96条の改正の議論から入ろうとした。また現在、「国家安全保障戦略」を立てようとしているが、「国家安全保障会議(日本版NSC)」の設置や「特定秘密保護法」の制定などに議論を矮小化し、肝心の集団的自衛権行使容認の議論については先送りしている。
根幹部分の議論を避けて枝葉末節の政策議論に「迂回」し続けていては、いつまでも状況は変わらないだろう。
法律の目的を正面から語り、説得する姿勢を持て
もちろん、「国家の安全保障強化のため、機密漏えい行為やスパイ行為を取り締まる」と、正面から議論をしたとして、納得する人ばかりだとは限らない。むしろ、マスコミからのバッシングが大きくなる可能性もある。
その意味で、反国益的な報道を繰り返すマスコミの姿勢にも、問題がないとはいえない。
それでもやはり、国家指導者であるならば、自らの信念に基づいて堂々と政策目的を語り、説得することが大切ではないだろうか。「刺激の強い内容を正面から攻めて反発されると支持率が下がる」「どうせ理解されない」というスタンスでは、国民の判断力を信頼していないということになる。
大川総裁は、 「考えることができる人間によって、民主主義的な成果が紡ぎ出されていかねばならないのではないかと思います。考えることができる人がいることで、マスコミが多様な情報を提供することの意味が出てくると思うのです」 と説き、自分で判断できる国民の政治参加とそれを後押しするマスコミの重要性を指摘した。
民主主義が育つためには、多様な価値観を認める自由がなければならない。その自由性の中で、「何を選び取り、どんな行動をしていくべきか」について考えることができる国民を育てる必要がある。
考えるためには正しい価値判断の基準を教える教育が不可欠だし、考える材料を提供するマスコミの仕事が意味を持つ。また政治家も、選挙に勝つための甘言ではなく、何が国民の幸福にとって正しいのかについて、有権者に正直に訴えかけ、批判に揺らがない「政治哲学」が必要だ。
中国の反日暴動の被害を受けた企業への補償を求めよ
もう一つ付け加えるならば、正面から議論を行うと、中国や韓国からの抗議も予想される。
一瞬のうちに地球の裏側の情報が届く現代社会においては、国内のみならず、世界に向けても堂々の論陣を張る強さがほしい。
現在、日本と中国、韓国の間で領土や歴史認識をめぐるさまざまな問題が起きている。
特に昨年9月に、日本の領土である尖閣諸島を「国有化」した時には、領有権を主張する中国が反発を強め、中国にある日系企業への暴動、焼き討ち事件が相次いだ。通常の先進国であれば、事件を起こした犯人は逮捕され、場合によっては損害賠償を請求されるだろう。しかし、中国では「反日の行為は無罪」とばかりに、反省も謝罪もない。
そのため、日本企業の中国離れが進んでいる。2013年上半期の対東南アジア投資は前年同期比55%急増して102億9000万ドル(約1兆3000億円)になった。一方で対中国投資は49億3000万ドルで、31%急減した。
「中国離れ」の状況には、中国も焦りを見せているようだ。中国共産党機関紙「人民日報」海外版は、「中国の投資環境が悪化している」という諸外国の論調に対して、「欧米などの国が国外に流出した資本を還流させるための意図的な操作であり、デマである」との反論記事を掲載している。
ただ、自国に投資を促したければ、安全に経済活動ができる環境を整えなくてはいけない。その責任を果たすことなく、「もっと中国に投資せよ」と言っても世界には通用しない。
大川総裁は、こうした中国の姿勢について 「国際レベルではない。図体は大きいが発展途上国であるとしか言いようがない」 と述べた。
日本も、こうした中国の非常識な姿勢について沈黙するのではなく、もっと反論しなくてはならないし、「大国というならこうあるべきだ」という常識を伝える必要がある。
経済力や軍事力だけでは世界の大国とはなりえない。本当の先進国は、「リーダーとして意見を発信できる国」である。その意見は、普遍的な政治哲学、政治思想の裏づけが必要だ。
現在、大川総裁が発信しているオピニオンは、神仏の心に照らした正義に基づいている。これが大川総裁のオピニオンに世界中の人々が注目する理由だろう。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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