習近平政権の経済政策大転換は権力後退を意味しているのか【澁谷司──中国包囲網の現在地】
2024.10.28
アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
今秋に開催された「国慶節」前夜のレセプションで、「改革派」の元老、温家宝・元首相と李瑞環・政治協商会議元主席2人が習近平主席の両脇に座った(*1)。
この光景は、8月の北戴河会議の際、元老たちが習主席に圧力をかけるために立ち上がった、という噂を裏付けるものといえる(*2)。
(*1)2024年10月6日付『万維読者網』
(*2)2024年10月10日付『万維読者網』
かつて批判した「温家宝式財政出動」を打ち出す背景に、党内外の圧力か
習主席の旗色の悪さが、同政権が打ち出す経済政策に如実に表れているという指摘がある。
習政権はこのほど、悪化の一途をたどる経済を救済するため、市場にカネを大量投入し、銀行金利を引き下げ、公共インフラ(鉄道、高速道路等)開発をできるよう、規制緩和を行うという。さらに国民の生活向上を目指し、雇用機会を増やすため、補助金を増額し、国内消費を刺激して、経済成長を促す方針であるという。
これらの新政策が、胡錦濤政権下の2008年、リーマン・ショックの経済危機に対処するため、温家宝首相(当時)が打ち出した「4兆元(当時のレートで約60兆円)投資計画」と酷似しているのだ。
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