いまの日本は尖閣を守れない マイナー自衛権を認め海上自衛隊を送るべき

2020.08.15

《本記事のポイント》

  • 現行法では、日本は武力攻撃事態でなければ自衛権を発動できず、尖閣を守れない
  • 「武力攻撃事態」が認定された時のみに、防衛出動できる
  • 防衛出動が発令されても、自衛権が行使できない場合がある

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海への中国公船による侵入が相次いでいる。

菅義偉(すが・よしひで)官房長官は11日、「極めて深刻に考えている」と懸念を表明。「中国には毅然とした態度で冷静に対応したい」と述べた。

しかし日本は毅然とした態度で、尖閣を守り切ることができるのか。

ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)で安全保障学や国際政治を教える河田成治アソシエイト・プロフェッサーに、日本が尖閣を守るための課題について話を聞いた。

(聞き手 長華子)

「武力攻撃事態」に当たらなければ、自衛権の発動はできない

元航空自衛官

河田 成治

プロフィール

(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。

現在、もし中国が漁船に民兵を乗せて、尖閣の実効支配を行おうとした場合、「法律的根拠」の問題から、日本の自衛隊は警察権に基づいた限定的な活動しか許されず、効果的に尖閣を守ることができない状態にあります。

では、何が縛りになっているのでしょうか。自衛隊は「武力攻撃」が発生したと認定されなければ、自衛権の発動ができないことになっています。

法律上、「武力攻撃とは何か」が細かく決められています。問題なのは、それが、「国家による組織的、計画的な武力行使」が行われた時だ、とされていることです。つまり主体が「国家」で、その攻撃が「組織的、計画的」でなければ、武力攻撃だと認められず、自衛権の発動ができないのです。

尖閣は「グレーゾーン事態」

このように武力攻撃に至らないケースを、「グレーゾーン」と呼んでいます。尖閣諸島の奪取の場合、中国という国家意志の「組織的計画的」な武力攻撃にあたらない、漁民に扮した海上民兵による侵略の可能性が高く、まさしくグレーゾーン事態になる可能性が高いと危惧されています。

一方、「武力攻撃事態」と認定された時のみに、自衛隊に防衛出動が発令されます。この「武力攻撃事態」とは、「武力攻撃が切迫している場合」か、「実際に武力攻撃が発生した場合」の両方があります。

自衛権が発動されるには3つの要件を満たす必要がある

しかし、防衛出動が発令されても、自衛権を自動的に行使できるわけではないことも問題です。

自衛権の発動には、次の3つの要件を満たす必要があります。(個別的自衛権の場合)

(1) 我が国に対する武力攻撃が発生したこと。(集団的自衛権の場合の要件は省略)

(2) これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために外交交渉など他の適当な手段がないこと。

(3) 必要最小限度の武力行使に留まるべきこと。

大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『シヴァ神の眼から観た地球の未来計画』の「あとがき」で、夢で見た話として、日本近海で暴れていた複数の龍に対して、「日本の自衛隊は、砲弾もミサイルも、『法律上の根拠が見当たらない。』という理由で撃てなかった」と述べられていました。

つまり、ここに問題が2つあります。

1つは、防衛出動以前に、中国側の尖閣への侵略方法が漁民に扮した海上民兵によるものなどにより、「武力攻撃と認定しにくい」ケースが予想される場合。もう1つは漁民保護などの名目で中国軍艦が領海に侵入し、明らかな主権侵害となった場合でも、「中国側からの攻撃が発生しない限り、自衛権を行使して実力で侵略を排除できない」ということです。

これらのケースでは、自衛隊はあくまでも海上保安庁の巡視船や警察官の代わりとして、限られた武器使用しか認められませんが(海上警備行動または治安出動)、中国側はいつでも無制限の武力攻撃に移行できるのです。

このように、自衛隊は攻撃したくても「法律上の根拠が見当たらない」状態に置かれるであろうことが、我が国の防衛上の大問題なのです。

中国は、このような自衛隊が「撃てない」状態、いわゆるグレーゾーンを狙って尖閣などへ侵略してくる可能性が多いにあり、日本の防衛には大きな穴が空いていると言えます。

日本近海では、「グレーゾーン」のまま事態が推移し、結果的に敗北を喫するのではないかと、たいへん危惧されます。

台湾を取るために尖閣が地政学的に重要

では、そもそも尖閣はなぜ中国にとって重要なのでしょうか。

中国は石油資源を狙っているという説もありますが、それは中心的な狙いではないと考えます。中国にとって重要な核心的利益は台湾です。

中国は、米軍が来る前に一気に台湾を占領して既成事実をつくろうとしています。

そのために台湾の周辺の制空権と制海権をとり、米軍や自衛隊が近づけないようにする作戦を考えています。南シナ海、西太平洋、東シナ海の制空権と制海権を確保できれば、台湾占領への道筋が見える。その際、台湾に米軍を近づけさせないようにするために、尖閣を同時占領するでしょう。

産経新聞は8月2日、中国海警が尖閣諸島領海に侵入した際、中国海軍も連動して台湾付近に展開させたと報じました。中国は、尖閣と台湾への動きを連携させて訓練している様子が伺えます。要するに、尖閣と台湾の奪取はセットなのです。これが尖閣の地政学的重要性です。

中国海警局による尖閣周辺海域への侵入に対する日本の領域警備は、法執行機関である海上保安庁が対応することになっています。しかし中国は、2018年に海警局を中国共産党中央軍事委員会の組織下に編入し、事実上、中国海軍の一部としました。

さらに2020年6月の法改正で、中国海警局の海警(巡視船)は、平時は軍と共同訓練、戦時は軍の指揮下で一体運用すると定めました。中国の海軍を補完する第2の海軍としての役割を担います。

例えば、海警2901は全長166メートルもあり、海上自衛隊のイージス艦とほぼ同じ大きさがあります。同艦が装備する76ミリ速射砲は、敵艦や航空機を攻撃することを目的としたもので、巡視船の任務である不審船や不法漁船の取り締まりには過大な重装備ですから、戦闘艦として建造されたことは明らかです。

「最初の弾丸を撃つべきは日本」

1978年の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)では、「日本は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する」と示されており、現在でも有効です。したがって尖閣防衛の第一義的義務は、当然、日本が負うべきものであって、尖閣への侵攻などの事態にあって米軍が自動的に参戦することは想定されていません。

また、米軍が自衛隊に向かって、事あるごとに語っていることは、「俺たちは命がけで日本を護るつもりだが、そのためにはあくまでも自衛隊が先に動くことが条件だ」というものです。

要するに、先述の『シヴァ神の眼から観た地球の未来計画』の「あとがき」で大川総裁が語った「アメリカ軍艦隊と、ドイツ艦隊が支援にかけつけてくれた。しかし、彼らは、巨龍に最初の弾丸を撃つべきは日本である」という夢で見られた事態は、まさにこのことを意味していると言えるでしょう。

さらに、「シヴァ神からの黙示録」で、「夢解きは近未来に明らかになるだろう」とされているだけに、日本は深刻に捉える必要があります。

マイナー自衛権を認めて、平時から自衛権を行使できる体制に

中国は米軍が手出ししないことを狙っているため、狡猾な侵略の仕方をする可能性があります。漁船が来ても守れる状態にしないと、占領されてしまいます。

そのために日本は「マイナー自衛権」を認めることが必要でしょう。マイナー自衛権とは、武力攻撃(組織的・計画的)に至らない敵対行為や、敵対意図の明示に対する自衛権の行使を指します。

国際法は、日本が言うような武力攻撃事態でなければ自衛権を行使できないとはしていません。マイナー自衛権のような、武力攻撃に至らない侵害に対しても、自衛権を行使することは、国際法上、認められています。

そのため敵がピストルを向けるなど、攻撃意図が認められる段階で、自衛の措置を取ることが国際的にも認められており、このように平時から自衛権を行使できるのです。

また国際法は、自衛措置の相手を外国の正規軍に限定してはいません。特定国家が背後にあると推定される武装要員による攻撃や、テロリストによる攻撃に対しでも、自衛権は許されます。つまり、相手が民兵でも武力行使が可能です。これで平時から、海上自衛隊の護衛艦が尖閣諸島などで、実力を行使して侵略行為を排除できるようになります。

これに対して、「護衛艦を尖閣周辺に送ると、中国海軍による介入の口実を与える」と反対する意見もあります。

海上自衛隊を送れば中国と衝突の危機を煽ることになるというのですが、実際は逆だと思います。海上自衛隊の護衛艦が、限られた武器使用の権限しか与えられない状況下で行動せざるを得ないことこそ(海上警備行動など)、かえって日本を危うくするといえるでしょう。

万難を排して我が国の領土を守り切るという決意と能力があってこそ、我が国の防衛は可能となるのです。

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タグ: 中国  河田成治  防衛  台湾  警察権  侵略  海上自衛隊  武力攻撃事態  自衛権  尖閣  シヴァ神 

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