イスラエル、アラブ革命の行方とイランを恐れる

2011.04.13

12日付英紙フィナンシャル・タイムズが、イスラエルがエジプトなどのアラブ革命を不安視していると伝えている。以下、要約抜粋。

・ある世論調査によると、イスラエル人の56パーセントが現在のアラブ世界の動きを「イスラエルにとって悪いことだ」と思っている。これは、「イスラエルの利益になる」という回答の約2倍にあたる。

・イスラエルの元外務省高官は言う。「ヨーロッパから見れば、エジプトの混沌はひどいことに思えるだろう。だがここイスラエルでは、ひどいことでは済まず、人生が変わるほどの問題だ。我々はエジプトと30年間和平を保ってきたが、これからはどうなるかわからない」。

・イスラエル当局や情勢分析家たちは、現在のアラブ世界の騒動は抑圧的な独裁政権を追い出す試みである以上に、「穏健で親欧米的な指導者層と急進的なイスラム主義の政治勢力の対立」という、より大きな文脈における政情不安だと捉えている。中東世界における穏健勢力が弱体化しているという見方である。

・イスラエルはまた、最大の脅威であるイランがアラブ世界の騒動につけこんで中東地域に自らの影響力を広げようとしていることを不安視している。国際社会の注意が中東に向けられている間に、イランは核開発をどんどん進めてしまうかもしれない。

イスラエルが怖れるのは、旧政権の崩壊でイスラム主義勢力が台頭し、ユダヤ教国である自らが強権的イスラム国家に包囲されるという悪夢であり、最大の脅威と捉えているイランが核を持つことであるようだ。中東アラブ革命の進展を見守るうえで、世界有数の軍事力を持つといわれるイスラエルの動きは常に要注意である。(司)

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