アメリカで米印同盟を後押しする声 日本が「インド太平洋」戦略を成功させる
2018.08.23
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《本記事のポイント》
- インドを「戦略的パートナー」に位置づけるトランプ政権
- 米国内でも米印の関係強化を望む声があるが、関係国との調整が必要
- 敵対国をあまり持たない日本が主導して、日米印3国の連携を強めるべき
トランプ政権主導の下、「自由で開かれたインド太平洋戦略」が着々と進みつつある。
「自由で開かれたインド太平洋戦略」とは、太平洋に位置する民主主義国家の連携を強めるという外交戦略で、アメリカが日本やインド、オーストラリアと協力して推進している。2016年に安倍晋三首相が提唱した構想を、翌年に発足したトランプ政権が「中国封じ込め」の意図を明確にして大々的に打ち出した。安倍首相が今年11月に予定しているオーストラリア訪問も、この一端に位置付けられる。
こうした外交戦略を背景に、アメリカが本格的にインドを戦略的パートナーに位置づけようとしている。9月初旬には、マティス米国防長官とポンペオ米国務長官がインドを訪れ会談を行う予定だ。
これに先立ち5月、アメリカは、太平洋から東アジア、東南アジア、オセアニア、南アジア、インド洋までを担当するアメリカの「太平洋軍」を「インド太平洋軍」に改称。さらに7月には、インド太平洋地域のインフラ整備などを支援するファンドを設立すると表明した。1億1300万ドルを拠出し、順次増額する方針を示している。莫大な投資によって発展途上国への経済的・政治的影響を強める中国に対抗するためのものだと言える。
「インドは中国の覇権主義をとどめる力となり得る」
こうした流れの中、ブッシュ政権で二期にわたって国務次官を務め、民主・共和両党で政策立案に携わったポーラ・ジョン・ドブリアンスキー氏の寄稿が、8月21日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載された。
同氏は、中国を封じ込めるには米印関係のさらなる強化が急務だとし、インドを次のように評価している。
「世界で最も人口が多い民主主義国は、中国の覇権主義をとどめる力となり得る」
「真の戦略的パートナーシップは、アメリカとインドの両国に、とてつもなく大きな利益をもたらす。インドは真に国際社会におけるパワーになる機会を手に入れる。アメリカは、世界の安全保障の問題に対して一層の協力関係を築き得るような、地域における巨大な同盟国、そして中国への対抗勢力を手にすることができる。永続的な米印のパートナーシップを確立することは、トランプ政権とアメリカの大きな戦略にとって、形勢を一変するような成功になり得る」
日本が仲介して日米印の連携を強める
ただ、ドブリアンスキー氏も寄稿で指摘するように、米印関係強化や米印同盟の締結にはいくつかの課題がある。
その中でも特に大きいのが中東諸国との関係だ。例えば、イランとの関係が挙げられる。トランプ政権はイランに強硬姿勢を示しているが、インドにとってイランは石油の供給源。アメリカと手を結ぶことによるイランとの関係悪化は避けたいところだ。米印同盟の締結には、"地ならし"が必要となる。
一方、日本は敵対国が少ないため、インドとの関係強化を妨げる障害がほとんどない。米印の関係強化に時間がかかるのであれば、先に日本とインドで同盟を結び、日本を介して日米印3国の連結を強めるということも視野に入れるべきだろう。
対中国ネットワークの確立において、日本が果たせる役割は大きい。トランプ政権と足並みをそろえながら、インドやマレーシア、台湾などアジアの民主主義国家と積極的に関係を強めることが求められる。
(片岡眞有子)
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