参院選投開票日7月10日に 批判殺到の18歳選挙権アニメは政治不信の表れ?
2016.06.04
東京都選挙管理委員会が作成したWebページ。
参院選の投開票日が7月10日に決まった。公示日は6月22日となる。
今回の選挙から選挙権年齢が「18歳以上」になるが、東京都選挙管理委員会が製作した18歳選挙権啓発アニメに批判が相次いでいる。
これは「東京都くん」というキャラクターが、架空の都市「TOHYO都(とうひょうと)」を案内し、みんなで投票に行くという内容。映像の中では、高校生が「モテたい」「(大学に)合格したい」など選挙に関係ないことを願いながら投票をする様子が描かれている。
18歳から選挙権があるということをまず知ってもらいたいという目的で作られたアニメだが、「低俗である」など、都選管に厳しい意見が寄せられているという。
若者が選挙に親しみを持ちやすいように創意工夫をするのは良いことだ。しかし、ただ投票に行くことが政治参加ではない。国家の未来を決める選挙に対して、若者が軽いイメージを持つことを促すような広報はいかがなものだろうか。
現在、選挙に行かない人が多いことが問題となっており、投票率を上げるため、様々な取り組みがなされている。それは確かに大事なことだが、選挙の真の目的は、国民が主体となって信頼できる政治家を選ぶことだ。投票率を上げることだけを目的にしてはいけないだろう。
投票率が上がらない背景には、政治に対する失望感がある。本来、政治家の使命は、国民を幸福にするために政治を行うことだが、現代の政治家が選挙で勝つことを中心に考え、政策さえもそのために利用してしまっている面は否めない。
消費増税延期はそのいい例だろう。消費税の増税延期そのものは歓迎すべきことだ。むしろ増税は中止したほうがよい。問題は、5%から8%に増税した政策が間違っていたのに、その失敗を認めず、増税延期を繰り返して責任をうやむやにしていることだ。
政治家がそのような不誠実なことをしていれば、国民からの信頼もなくなり、投票率は下がる一方だろう。投票率を上げたいなら、まずは政治家が、国民が投票したいと思えるような誠実さを貫くべきだ。
18歳選挙権の啓発アニメに限らず、若者がもっと政治や選挙の重要性を感じられるような広報が必要だ。もちろん、若者だけでなく、有権者全員が、日本の未来を決める大きな責任を担っている。今回の動画は反面教師ではあるが、選挙の意義について考えさせられる。(志)
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