今まで教科外の活動だった道徳は、2018年度以降、小中学校で教科として位置づけられる。それに伴い、文部科学省の教科用図書検定調査審議会は、道徳教科書の検定基準の原案をまとめ、下村博文文科相に提出した。この報告書を基に、文科省は9月に検定基準を発表するという。

教科書の原案では、記述の公平性や多角的な見方を重視。色々な見方ができる事象を取り上げる場合は、特定のイデオロギーに偏らないようにし、「考え、議論する」授業が行えることを目指すという。

道徳教育を重視する姿勢は評価できる。だが、子供たちに「善悪の判断」を教えることなく議論させるだけでは、結局、子供たちは「何が正しいことなのか」が分からないままだろう。今必要なのは、善悪判断の背景にある宗教の大切さを教えることだ。

議論を通じて「真・善・美」の追究をしていた哲学者といえば、古代ギリシャのソクラテスが有名だ。大川隆法・幸福の科学総裁は、ソクラテスの霊を呼び出し、道徳についての考えを聞いた。ソクラテスの霊は、宗教の大切さについて以下のように述べている。

「『これが善だ』ということを見分けていくときには、やっぱり、“凡百の人"では、そう簡単には分かりません(中略)。今、伝えられている善悪はすべて、『救世主』とか『預言者』とか、あるいは、何らかの、そうした『学問的な祖』にあたるような人たちがつくり出してきたもの、彼らが唱道して、みんなが受け入れてきたものだと思いますね。『そういう意味での選ばれし指導者が出てくる』っていうことを受け入れなければ、全員が、そう簡単に辿り着けるようなものではないと思うんです。小学校一年生の足し算・引き算とは、一緒にはいかないと思いますね」

また、ソクラテスの霊は、神を扱わない道徳は、「時の権力者が、自分の言うことをきかせるために使う行為」になる危険性もあるとも述べている。

例えば、毛沢東は『毛沢東語録』を聖典として扱い、人々を洗脳、服従させる手段として使っていた。他にも、ヒットラーが政治指導者として、「ユダヤ民族は呪われた民族であり、アーリア人の末裔の我々は優れた人種である。だから、呪われたユダヤ人を抹殺することは善であり、道徳的行為だ」と決定することもできた。

道徳の上位概念としてあるのが宗教だ。生命の尊厳や伝統と文化、先人の伝記などをテーマとした道徳教育も大切だが、宗教教育によって神の存在とその御心を知ることはさらに重要だ。(泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ソクラテス「学問とは何か」を語る』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『生命の法(いのちのほう)』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=127

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